アミメノコギリガザミを手にする井上忠信さん=茨城県つくば市で2023年3月16日午後3時36分、大場あい撮影 「ほら、これ見てください。大きなハサミでしょう」 研究室に入り、あいさつもそこそこに井上忠信さん(54)が満面の笑みで見せてくれたのは、冷凍保存していたアミメノコギリガザミ。沖縄のマングローブ林や干潟などに生息する大型のカニだ。 研究室には、ヤドカリの仲間で絶滅危惧種に指定されているヤシガニのハサミの剥製なども置かれている。とはいえ、井上さんは生物の研究者ではない。「物質・材料研究機構」(茨城県つくば市)で分野長を務める、材料研究の専門家だ。 鉄鋼などの材料は、強度を上げればもろく壊れやすくなる。井上さんは強くて壊れにくく、かつリサイクルしやすい材料の開発を目指して研究してきた。竹のような繊維状の組織を持ち、強さと粘り強さを併せ持つ鋼の開発に成功し、その成果は2008年に米科学誌サ
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