戦後、力道山が日本へ輸入したプロレスは、時代の気分に沿った役割を果たしてきた。体を鍛え抜いた大男たちが強さを競い合うという一元的な価値観から、現在は見る側のニーズや理解力が多様化することでさまざまなスタイルへと派生している。 そうした中で「スポーツバラエティー」を標榜し、映像やドラマ性に富んだエンターテインメントプロレスの第一人者として人気を上昇させてきたのがDDT(ドラマティック・ドリーム・チーム)という団体だ。1997年にわずか3名の所属選手で旗揚げした当時は、多団体時代の到来とともに増えた弱小インディープロモーションのひとつに過ぎなかったが昨年8月、創立13年目にして両国国技館に進出し、業界内外のド肝を抜く。 旗揚げメンバーであり、団体の代表取締役である高木三四郎は、従来の体育会系の流れとは一線を画す文化系的発想により、既存の価値観にとらわれぬ見せ方を実践してきた。その過程におい