タグ

ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (188)

  • 都知事選、蓮舫候補の「二重国籍」問題の事実関係を改めて検証する

    6月19日、東京都知事選立候補予定者の共同記者会見に臨んだ蓮舫 Yuichi Yamazaki/Pool via REUTERS <選挙の有力候補者には、様々なバッシングが行われるのが常だ。その全てを防ぐことは難しいが、民族マイノリティに対して候補者の適格性を謂れなく問うことは差別であり、他の誹謗中傷とは次元が異なる> 5月27日、立憲民主党の蓮舫参議院議員が、7月に行われる都知事選への出馬表明を行った。現職の小池百合子都知事との対決が話題になっている。東京都の行政改革に期待を寄せる声もある一方、様々なバッシングも生じている。そのバッシングの一つで、小池知事を支援する現職区議なども含め、ネットを中心に蒸し返されているのが、2016年に発生した蓮舫氏の「二重国籍疑惑」だ。 およそ大きな選挙があるとき、その有力候補者に対しては様々なバッシングが行われる。中には誹謗中傷や根拠のないデマを元にした

    都知事選、蓮舫候補の「二重国籍」問題の事実関係を改めて検証する
  • SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?

    『アステイオン』1986年の創刊号から、初期の原稿をたどり「ああ、寄稿者の多くがご逝去されていて、当によかった」と思ってしまった。あの方々がいま生きていらしたら、誰か一人くらいは民衆に殺されていただろう。 普段、イエロー・ジャーナリズムで日銭を稼いで暮らしている私だが、たまに堅気の文も書く。ちょうど数日前に初稿をあげたのは、日の「弱者男性」に関する特集で、日人の3人に1人は、障害や貧困などに苦しめられる、弱者男性によって占められているという話であった。 つまり、男性の過半数は何らかのハンデを背負って生きているという推計である。そんな彼らが、当時の好景気に後押しされた教養主義にあふれる創刊号を目にしたら、革命の狼煙があがったやもしれぬ。 2号には袴田茂樹氏の「『知識人群島』ソ連」が掲載されており、そこにはロシアの民衆へ、同情的な言葉が並ぶ。 「『不足経済』の状況下では、商品や物的環境は

    SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?
  • 「現代のネロ帝」...モディの圧力でインドのジャーナリズムは風前の灯火に

    <モディ首相の強権的な手法によって、批判的な報道が抑え込まれ、インドの主流メディアは政権の広報機関と化しつつある。「世界最大の民主主義国」に迫る暗雲> 「インドのような民主主義が前進できるのは、監視機能が作用しているからこそだ」 4月に総選挙の投票が始まる直前、インドのナレンドラ・モディ首相はニューズウィークのインタビューでこう述べた。「この点でインドのメディアは重要な役割を果たしている」し、「インドで報道の自由が損なわれているとの主張」は「疑わしい」とも語った。 記事はインタビューというより、モディのプレスリリースに近い。まずマニプール州の紛争には一言も触れていない。昨年5月以来、同州では部族間の紛争が激化し200人超の死者が出ているが、モディ政権は事態を沈静化できていない。 また、イスラム教徒が多数派のジャム・カシミール州についてモディは明るい見方を示したが、政権がこの地域で市民の自由

    「現代のネロ帝」...モディの圧力でインドのジャーナリズムは風前の灯火に
  • 政治資金改革を時間稼ぎの「政局的な話」としか考えていない自民党

    首をすげ替えても自民党に後はない?(5月4日、ブラジルのサンパウロで記者会見をする岸田文雄首相) REUTERS/Jorge Silva <政治資金問題について野党の追及を受けると「自民党の力をそぐための政局的な話」を反論する自民党からは「被害者意識」しか感じられない> 自民党の裏金問題を機に、国会では政治資金改革の議論が活発に行われている。野党が企業団体献金や政治資金パーティーの禁止など踏み込んだ案を出す中、自民党の改革案が甘いといわれ、厳しく追求されている。 そのような状況下、自民党政治刷新部座長を務め同党の改革案をまとめる立場の鈴木馨祐議員が、5月12日、民放の政治番組に出た際に野党から厳しい政治資金改革を求められたことに対して「自民党の力を削ぎたいという政局的な話」と発言した。これは単なる失言ではなく、裏金問題について反省がなく、改革案すら積極的に「政局」に利用しようとする自民

    政治資金改革を時間稼ぎの「政局的な話」としか考えていない自民党
  • ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由 <東京・西新宿のタワーマンションで起きた刺殺事件。「結婚資金」として女性に約2000万円を渡していたと主張する加害者にネット上では「同情の声

    ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

    <誹謗中傷で訴訟を起こされた被告が訴訟費用を上回るカンパを集め、さらに裁判過程をコンテンツ化して儲ける「ビジネス」が増えている> 4月18日、文学者の北村紗衣氏が、ネット上で「山内雁琳」を名乗る男性から受けた誹謗中傷を、名誉毀損だとして訴えた裁判の判決が東京地裁で下された。その内容は、雁琳氏は北村氏に対して慰謝料及び弁護士費用の合計220万円を支払うべしというものだった。同種の裁判と比べると、220万円という金額は重いとされている。 原告代理人が「被害者ではなく加害者がカンパを募る「誹謗中傷ビジネス」に対して、裁判所が歯止めをかけた重要な貴重な判決」と述べているように、この判決は、ネット上の誹謗中傷とその裁判がコンテンツとして収益化される風潮に一石を投じるかもしれない。 発端は別の誹謗中傷事件 事の発端は、文学者でフェミニスト批評を行っている北村紗衣氏が、歴史学者である呉座勇一氏のセミクロ

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令
  • アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と呼んだ...現在も続く科学者「魔女狩り」の悲劇

    <今も繰り返される科学者への市民の不信感と、科学への政治的な歪曲の歴史を、アカデミー作品賞映画『オッペンハイマー』の基になった伝記の著者がつづる> ロバート・オッペンハイマーは1954年春、ニュージャージー州のプリンストン高等研究所でアルバート・アインシュタインと出くわした。オッペンハイマーは47年から所長を務めており、アインシュタインは33年にドイツを逃れて以来、研究所の教授職にあった。 「神はサイコロを振らない」と言ったアインシュタインだが、2人は良き友人だった。 オッペンハイマーはアインシュタインに、仕事を数週間休むことになると話した。安全保障に関する嫌疑をかけられ、おそらく国への忠誠心さえ疑われており、ワシントンで開かれる非公開の聴聞会で弁明を余儀なくされていた。 アインシュタインは「魔女狩りの餌になる義務はない。祖国に尽くしてきたではないか。それが(アメリカの)仕打ちだというな

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と呼んだ...現在も続く科学者「魔女狩り」の悲劇
  • 「核実験場の風下には人が住んでいた」アカデミー賞『オッペンハイマー』が描かなかった被曝の真実

    1945年7月16日、ニューメキシコ州アラモゴードにあるトリニティ実験場で史上初の核実験が行われた JACK AEBYーCORBIS/GETTY IMAGES <ニューメキシコの核爆弾実験場の近隣には、先住民やメキシコからの移民が住んでいた。映画から抜け落ちた住民の被曝被害の実態に見えるアメリカの「誤った理想」> 今年のアカデミー賞で主要7部門を制した『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督)が時代を超えて語り継がれる名作であることは、たぶん間違いない。その点に異論を唱えるつもりはない。 しかし批判すべき点はある。とりわけ、あの3時間の大作で語られなかった部分だ。例えば、広島や長崎で犠牲になった人たちのこと。 ああ、その話なら日映画でたくさん語られているよ。そんな反論が(少なくともアメリカ国内では)返ってくることは承知している。では、こちらはどうか? 戦時の国策で原爆の開発が進

    「核実験場の風下には人が住んでいた」アカデミー賞『オッペンハイマー』が描かなかった被曝の真実
  • 大物セレブも続々...作風真逆の映画『バービー』と『オッペンハイマー』のはしご鑑賞が北米でなぜか大流行

    NYタイムズスクエアに出された『バービー』の宣伝(左)と『オッペンハイマー』のオリジナルポスター From Left:rblfmr-Shutterstock, Stefano Chiacchiarini '74-Shutterstock <来なら観客層が重なるはずのない映画『バービー』と『オッペンハイマー』だが、同日公開されたことではしご鑑賞する客が続出。ネット上にはコラージュ画像が溢れ、カラフルなキノコ雲のミームまで出回っている> 【写真】キノコ雲のミームも...ネットを賑わす『バービー』と『オッペンハイマー』コラージュの数々 全米脚家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のWストライキが暗い影を落とすハリウッドで今、バービー人形と"原爆の父"オッペンハイマー旋風が吹き荒れている。 7月21日に同日公開されたマテル社の世界的人気玩具を実写映画化した『バービー』(8月1

    大物セレブも続々...作風真逆の映画『バービー』と『オッペンハイマー』のはしご鑑賞が北米でなぜか大流行
  • 『オッペンハイマー』:被爆者イメージと向き合えなかった「加害者」

    ノーラン監督が「原爆の父」オッペンハイマーの半生を描いた意味は? ©Universal Pictures. All Rights Reserved. <ヒロシマ・ナガサキの惨状が描かれていないなど批判もあったが、これは紛れもない反核映画だ>*若干のネタバレあり 今年のアカデミー賞で、作品賞など7賞を獲得したクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』が今年3月にようやく日公開された。「原爆の父」とも呼ばれるアメリカの物理学者オッペンハイマーの半生を描いたこの作品は、被爆国である日では特に政治的な議論の対象になったこともあり、公開が大幅に遅れていた。 そのような事情から、この映画は原爆投下についてのアメリカ側の弁明にすぎないのではないかという先入観を持っていたが、鑑賞してみると、それとは異なる印象を抱くことになった。 【写真】ネットを賑わす『バービー』と『オッペンハイマー』コラージュ

    『オッペンハイマー』:被爆者イメージと向き合えなかった「加害者」
  • 日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由

    <バリアフリーを要求する車椅子利用者を「わがまま」と非難する背景には、障害者を助けるのは「善意」からなので、それ以上を求めるべきではないという考え方がある。だが今は、その考え方にパラダイムシフトが求められている> 3月15日、「車椅子インフルエンサー」として活動している中嶋涼子氏が、イオンシネマで映画館スタッフの介助を得て映画を観たところ、観賞後、責任者に今後の利用を断られ、悔しかったことをSNSに投稿した。イオンシネマは翌日、従業員の不適切な対応についてホームページ上で謝罪した。ところがその後、SNSでは中嶋涼子氏に対するバッシングが巻き起こった。 近年、事業者のバリアフリー対応について公然と批判する障害者は、世間からの謂れのない攻撃に晒されている。4月からは障害者差別解消法に基づいて、障害者に対する「合理的配慮の提供」が義務化される。社会で進んでいくバリアフリー政策と、人々の意識のギャ

    日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由
  • 在日外国人と日本社会の共生努力を後退させる右派の差別扇動

    <これまで大きなトラブルもなく10年以上にわたってうまく共生してきた埼玉県蕨市のクルド人と日人の関係に楔を打ち込む事F件があった。なぜ共生はうまくいかないのか> 2月18日、埼玉県の蕨市駅周辺で、右派系市民グループ「日第一党」に所属していた人物が主催するデモが行われた。標的にされたのは、川口市や蕨市に住むクルド系の住民だ。 日社会で暮らす外国人や外国にルーツを持つ人々の数は増えつつある。その一方で、右派系市民グループや右派系ジャーナリスト、またSNSなどで煽られた匿名のアカウントらが、地域社会に定着して暮らしている外国人の生活を脅かすという現象が生じている。 埼玉県南部のクルド人コミュニティへの差別の拡大 近年、川口市や蕨市など埼玉県南部地域では、クルド系住民の数が増えている。難民申請者もいれば正規ビザ取得者もおり、在留資格は様々だが、人口は約2000人と言われる。現地でクルド人と日

    在日外国人と日本社会の共生努力を後退させる右派の差別扇動
  • 私たちが「ガンダム」になったとき、心のバリアは消えるのか?...韓国の障害者が鳴らすテクノロジー礼賛への警鐘

    3年ほど前、鹿児島に住む小学生たち7人をインタビューしたことがある。好きなものや考えていること、気になることを自由に話してもらう。 すると、ひとりの小学生の女の子が「好きなものはガンダム。家族全員でガンダムを見ています!」と答えてくれた。 「懐かしい! 私も小学生のときに見てたよ。アムロが大きなロボットに乗って『アムロ、行きます!』って言うんだよね」と答えると、その子はすかさず訂正した。 「あれはロボットじゃなくてモビルスーツです」 え、モビルスーツってなに? 「人と合体しているんです。だからロボットじゃありません」 その子は静かな熱を持ってそう言った。 ああ、そうか。ガンダムは人間の体と一体化して人の能力をパワーアップさせる道具なのね。ということは、モビルスーツを装着したアムロは、サイボーグということになるのか? サイボーグとは、「サイバネティック・オーガニズム」の略で、「機械と結合した

    私たちが「ガンダム」になったとき、心のバリアは消えるのか?...韓国の障害者が鳴らすテクノロジー礼賛への警鐘
  • スマートニュース・メディア価値観全国調査の記事まとめ | ニューズウィーク日本版

    統治の不安と分断がもたらす政治参加 <大規模世論調査「スマートニュース・メディア価値観全国調査」が明らかにした日の「分断」。連載第7弾...

    スマートニュース・メディア価値観全国調査の記事まとめ | ニューズウィーク日本版
  • 「政治と関わりたくない人たち」がもたらす政治的帰結

    <大規模世論調査「スマートニュース・メディア価値観全国調査」が明らかにした日の「分断」。連載第6弾では、政治にかかわりたくない層の増加は、何をもたらすのか、早稲田大学政治経済学術院教授・小林哲郎氏が解説する> ■連載の記事一覧はこちら 筆者は2015年末から2023年8月まで香港の大学で勤務したことから、2019年から2020年にかけて香港で発生した大規模なデモとそれに対する政府の弾圧を間近で目にする経験を得た。2019年6月、人口約740万人の香港で200万人(主催者発表)もの人々がデモに参加。レストランや小売店が民主派vs.親政府派・親中派に色分けされて、ボイコットやバイコットが日常的に行われていた。さらに、コロナワクチンを接種する際ですら中国製を選ぶか否かという選択肢さえもが政治化。生活の隅々にまで政治的な対立が行き渡っており、好む・好まざるに関わらず、政治に関与することはごく普

    「政治と関わりたくない人たち」がもたらす政治的帰結
  • ワグネルを支配する「ロシア刑務所の掟」が戦場に染み出す...極めて厳格な身分制度の「4つの階級」とは?

    ワグネルを支配する「ロシア刑務所の掟」が戦場に染み出す...極めて厳格な身分制度の「4つの階級」とは? <ワグネルの囚人部隊を支配する独自の規律、裏社会の論理を理解せずにロシア戦争質は分からない> ロシアウクライナを侵略したことにより、さまざまな面で大きな代償を払わされることになった。ロシア軍の人的損害は特に深刻だ。ロシア軍は侵攻開始初期から多くの戦闘員を失い続けている。 そうした戦闘員不足の穴埋めをしてきたのが、ウラジーミル・プーチン大統領の盟友とされたエフゲニー・プリゴジンが率いる民間軍事会社「ワグネル」だ。ワグネルは、ロシアの刑務所に収監されている受刑者の中から、活発に、時には強引な方法で戦闘員を集めている。受刑者には、戦闘に参加することと引き換えに、任務が終了した後の自由が約束される。同様の戦闘員確保の方法は、ロシア国防省も正規軍で採用するようになった。 西側諸国の専門家は

    ワグネルを支配する「ロシア刑務所の掟」が戦場に染み出す...極めて厳格な身分制度の「4つの階級」とは?
  • 「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最凶部隊「ストームZ」10万人を送り出すプーチンと「生還後の悲惨」

    ウクライナ側の捕虜となったロシア兵には傭兵や囚人も含まれる(リビウの収容所、23年8月) PAULA BRONSTEIN/GETTY IMAGES <刑務所が空っぽになったスターリン時代と同じく、恩赦と引き換えに凶悪犯が戦場へ。戦場を生き延びた彼らが街に戻ってきたら...> もう10年ほど前のことだが、泥沼化するシリア内戦にアメリカが介入し、反政府派の勢力に武器の供与を決めたとき、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は真顔でカニバリズム(人肉)への嫌悪感を表明し、こう言った。 「殺した敵の腹を裂き、その臓物をべ、その行為を動画で公開するような連中を支持する理由などない」。そしてアメリカ人に、こう呼びかけた。 「こんな奴らを、諸君は助けるのか? こんな奴らに武器を送るのか?」 だがプーチンは、その後の歳月でカニバリズムを許容するようになったらしい。彼は旧ソ連のスターリン時代の流儀に倣って

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最凶部隊「ストームZ」10万人を送り出すプーチンと「生還後の悲惨」
  • 【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る

    地震で破壊された石川県輪島市で生存者を探す消防士(1月1日) (Photo by James Matsumoto / SOPA Images/Sipa USA) <発災直後に被災地に入ったジャーナリストや政治家は個別の事情も顧みずSNSで苛烈なバッシングに遭った> 2024年1月1日に石川県能登地方を中心に発生した最大震度7の地震は大きな被害をもたらし、200人を超える死者と数万人の被災者を生み出した。この地震の発災直後から数週間、インターネット空間では様々な言説が乱れ飛んだ。その中で、この震災に関連する言説の特徴の一つだといえるのは、災害ボランティアに対して過剰に自粛を要請し、被災地入りしたジャーナリストや国会議員に対して苛烈なバッシングがあったことだ。今回のコラムでは、この現象について考えてみたい。 素人でもないのに 今回の能登半島地震では、半島という地形的な要因と地震によって道路が寸

    【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る
  • 松本人志を自分の「家族」と見なす人々への違和感

    <週刊文春が報じた「松人志の性加害疑惑」が世の中を賑わせている。ネット上ではさまざまな誤解や偏見もあるが、最大の問題は多くの人が松人志を自分の「家族」と同列に見なしていることではないか> 松人志の一件にどうしてこれほど注目が集まるかと言うと、令和6年現在の日人の価値観や日社会の目指している方向が、ありありと映し出されるからだろう。 この問題は一人のお笑い芸人の醜聞という範疇をすでに超えており、日社会の未来像にまで関わる話になっている。この件について何かを語る時、その人のお笑いに対する態度や芸能人への意識、性加害に関する見識、男女の性差についての考え方など、内面のさまざまな価値観や人間性が露呈してしまう。つまり、少々危険な話題である。 X(旧ツイッター)上は例によって過激な言葉があふれており、それだけでお腹いっぱいという人も多いだろう。コラムは良くも悪くも、それほど極端なことを

    松本人志を自分の「家族」と見なす人々への違和感
  • 世紀の大傑作『かぐや姫の物語』にあえて苦言を一言

    ちょうど封切りの初日に間に合ったのは幸いでした。短い一時帰国の最後の晩、新宿のシネコンで観賞後に羽田発の深夜便で西海岸乗り継ぎで戻ってくるというのは強行軍に聞こえますが、その間、映画の余韻がずっと続いていたことで疲労も感じなかったぐらいです。 傑作だと思います。いや大傑作でしょう。 これはアニメーションというカテゴリに全く新しい次元を開いただけでなく、原作の『竹取物語』が千年を越える生命を保っているように、この作品も長い時間を越えて残っていく価値がある、それぐらいの作品と思います。 何よりも、日画や水墨画を思わせる「開かれた、そして動的なエネルギーのある線」の表現が、動画になることで、ここまでの表現力を獲得したということが画期的です。アニメは、ここに至って「輪郭線と塗りつぶし」という文法から解き放たれたのですが、そのことの意味がこれほどまでに説得力を持つというのは驚愕でした。 日画の影