僕は子どもらに選んでもらって父親になれた。 職場で子どもが生まれて父親になった男性社員がいた。 嬉しそうに出産の報告をする彼の姿に、初めて僕が父親になった日のことを、ふと思い出した。 第一子出産のときに、産婦人科の分娩室前の廊下で、落ち着きなくうろうろしながら、赤ちゃんが無事生れてくるそのときを待ち望んでいた。 そして分娩室から響いてきた長女の泣き声に、父親になれた自分を感じていた。 もしかしたら、初めて父親になった彼もそんな時間を過ごしたのかも知れない。 【わたしがあなたを選びました】 僕は、僕がこの子らの父親になれたのは、子どもらが僕を父親に選んで生れてきてくれたからだと思っている。 果たしてその選択が、子供らにとって正解だったかどうかはわからないけれど、それでも僕の子どもらは、僕のことを父親として選んで生れてきたのだと強く思っている。 わたしがあなたを選びました。 「わたしがお父さん