かつてのセレソンのスターは、政治家となったことで、 ブラジルの腐敗の現状を目の当りにした。国民の財産である サッカーを不正から守るため、レジェンドが立ち上がった。 穏やかな秋の一日、ロマーリオは落ち着いた様子で、ブラジリアの広大な自宅で寛いでいた。ガレージには2台のレーシングカー。お決まりのプールと人工芝のピッチ。もうひとつの砂のピッチはビーチバレー用である。所有するヨットは、ブラジリア湖のプライベート埠頭に無造作に繋いであるという。 新築間もない邸宅は、さまざまな人で溢れかえっている。仕事師や家政婦たち、ジャーナリスト。プレスオフィサーは、時間厳守とは無縁の気まぐれな夜の鳥を、スケジュール通りに仕切ろうと四苦八苦している。 ひとりの少女が、愛くるしさを振りまきながら駆け回っている。生まれながらにしてダウン症のハンディキャップを背負った次女のアイビーである。彼女の存在が、ロマーリオに政治家
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