《糸井(重里=引用者注)さんから電話がかかってきて、『週刊文春』で手塚(治虫)先生の『アドルフに告ぐ』が落ちた、大変だ、お前埋めろと言われた。とりあえず編集部に行って今晩中に描いてほしいって言う。四ページ余っている。編集部に夜中に行って、朝までかかって「革とママ」っていうマンガを描いたんですよ。》(注1) みうらじゅん ©山元茂樹/文藝春秋 ダディ竹千代の“代役”、ビートたけしが築いた熱狂の時代 「したくない仕事しか来ないんです。でも、運は、そこにしかない」(注2)とは萩本欽一の言葉だ。急場しのぎの代役も、なにしろ急にふられる話なのに実力を計られるのだから、したくない仕事に違いない。 おもえば、水道橋博士の師匠・ビートたけしの「オールナイトニッポン」も、急場しのぎの代役として始まったと言える。というのも前任のDJ、ダディ竹千代の番組が打ち切りになり、次へのつなぎとして、3ヶ月限定の扱いであ