「この本は言ってみれば、『スター・ウォーズ』なんですよ。エピソード5/帝国の逆襲があったり、エピソード6/ジェダイの帰還までつづくはずですよ」 菊池寛の胸像のあるロビーで、「週刊文春」編集部(当時)の目崎敬三が私に熱く語りかけた。 本というのは、1996年初冬、飛鳥新社から出した『裏本時代』(現在、幻冬舎アウトロー文庫に収録)という書き下ろしノンフィクションノベルのことで、翌年、「週刊文春」のぴーぷる欄の近況インタビューを目崎敬三から受けたときに飛び出した言葉だった。 『裏本時代』は、私がフリーランスの物書きをやりだしてからしばらくして、ある不思議な人物と遭遇したことを基軸にして、綴ったものだった。 1980年代初頭、突然、性器や交接シーンが無修正のカラー写真集が新宿歌舞伎町のアダルトショップで密売されるようになり、ひそかなベストセラーになった。 裏本と呼ばれる原価数百円の無修正写真集が小