『禅と骨』(プロデュース・監督・構成=中村高寛)を観ながら「新たな領域に踏み込んだドキュメンタリーだ」と感じる。が、作品を発表するとは、なんらかのかたちで新たな領域に踏みこもうとするのだから、『禅と骨』では「踏み込み方が新しい」と言ったほうが正確だ。その新しさをひとことで表わせば、「異なった要素を混ぜあわせ、組みあわせたもの」を意味する「ハイブリッド」である。この作品は、記録映像、再現ドラマ映像、アニメーションなどが混交したドキュメンタリー作品なのだが、それだけの理由でハイブリッドなのではない。 本作では、スタッフ本来の職分の境界線が滲み、役割分担が融合している。プロデューサーは、林海象と中村高寛のふたりになっており、映画制作の経緯がふたりのプロデューサーを求めたのだろうが、両者の役割は同じではなく、プロデュースの複数性は映画制作になんらかの影響を与えているはずだ。また、土本典昭監督と小川