お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さんが、3作目となる小説「人間」を10月に刊行した。今作は、又吉さんの父の出身地・沖縄も登場する。又吉さんは作品に込めた思いを、6月に沖縄で行われたトークライブで語っていた。『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場界隈の人々』の著者・橋本倫史さんとのトークライブの【後編】をお届けします。 <<前編はコチラ>> 「懐かしさ」と「これから」 橋本:第一牧志公設市場の今の建物は半世紀近くそこにあったので、リニューアルが決まったとき、取り壊しを惜しむ声も耳にしたんです。そこは皆が「懐かしい」と感じる場所だったんだと思いますけど、その一方で、地元のお客さんはスーパーで買い物する人が増えているんですね。そうした現状を踏まえると、皆が「懐かしい」と感じる市場周辺がこれからどうなっていくのか、気がかりでもあって。 又吉:たとえば、懐かしのヒットソングを特集するテレビ番組が放送され