杉咲花が「気持ちわる」と、映画『青くて痛くて脆い』の予告編で言い放つ場面が気にかかっていた。杉咲と共にW主演を務めた吉沢亮が「本気で言われているのかと思ってへこみました」(「全国の学生100人限定!吉沢亮・杉咲花の“となり”で一緒に観る10分間のオンラインプレミア試写会」にて)と語るほど、侮蔑や憐憫に溢れているこの一言がまさか本作のキーワードになるとは。 大学という場所は、得てして2種類の人間に分かれる。新入生の頃から着実に単位を取得しながら文化的活動に励み、早めの段階から就活に向けて動き出す人間と、彼らを“意識高い系”とカテゴライズして嘲笑い、ぼんやりとキャンパスライフを送る人間。 吉沢演じる主人公・田端楓は後者、杉咲扮する秋好寿乃は前者の人間だ。「人に不用意に近づきすぎないこと」「人の意見を否定しないこと」を信条としている楓は、大勢の前で空気の読めない発言を繰り返す秋好を最初は心の底か