2016年1月8日、69歳の誕生日に新作アルバム『★(ブラックスター)』発表。その興奮も冷めやらぬ翌々日の1月10日、突如として飛び込んできたボウイ死去の報。 この二重の衝撃を受け止めきれぬまま寄る辺としたのは、優れたボウイ論「自殺するロックンロール」(『政治の美学』所収)をお書きになっていた田中純先生のことばでした。追悼文を『図書』にお寄せいただき、そこで描きだされる「生き延びる」「死後の生」としてのボウイの姿に、重い喪失感とわだかまる混乱とが溶けていくようだったことを覚えています。ーーそれから5年(ファイヴ・イヤーズ)、ボウイの作家性をトータルに論じた『デヴィッド・ボウイ 無(ナシング)を歌った男』が上梓されるにあたり、同書の核のひとつを伝える追悼文を再掲載いたします。(編集部N)