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ブックマーク / www.cinra.net (596)

  • 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が、働く現代人に刺さる理由。三宅香帆さんインタビュー | CINRA

    2021年の映画『花束みたいな恋をした』では、就職すると、かつて愛した漫画に目もくれなくなってしまった青年、麦(菅田将暉)が描かれた。なぜ、麦くんはを読まなくなったのだろう―。 そんな疑問から生まれた一冊『なぜ働いているとが読めなくなるのか』(集英社新書)が、発売1週間で10万部を突破し大きな話題となっている。 著者の三宅香帆さんと、読書を楽しむ余裕がなくなってしまった現代人の労働の問題と生活について、たっぷり語り合った。 ―著はタイトルの通り、「なぜ働いているとが読めなくなるのか?」という課題意識から、明治時代以降のヒットの変遷を軸に、日の労働観を総括されています。明治以降の労働史を知るのにすごく最適な一冊だと思いながら読みましたが、どんな経緯でご執筆をされたのでしょうか。 三宅香帆(以下、三宅):映画『花束みたいな恋をした』(2021)を観たことがきっかけになっていて、

    『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が、働く現代人に刺さる理由。三宅香帆さんインタビュー | CINRA
  • Corneliusが語る、レコーディング環境30年の変遷。AI時代でも「自分にフィットするやり方を選ぶだけ」 | CINRA

    今年ソロ活動30周年を迎えたCorneliusが、近年発表してきたアンビエント色の強い作品を中心に再構築したアルバム『Ethereal Essence』をリリースし、7月に東京と京都でアニバーサリーライブを開催する。 Corneliusの30年の歴史は、レコーディング環境の進化とともにあったと言っていいだろう。外部のスタジオから事務所内の簡易的なスタジオへと場を変え、Pro Toolsを用いたDTMベースの制作へと移行して、現在ではハードウェアは用いず、楽器もごく一部でしか使われず、レコーディングのほとんどがプラグインで完結。そんな変化と呼応しながら年代ごとにサウンドデザインを突き詰めたことにより、現在では世界中にファンを持つCornelius独自の音楽性が形成されてきた。 今回のインタビューではそんなレコーディング環境の変化を軸にして、30年の歩みを振り返ってもらうとともに、『Ether

    Corneliusが語る、レコーディング環境30年の変遷。AI時代でも「自分にフィットするやり方を選ぶだけ」 | CINRA
  • 夫婦のあり方を考え直す。『1122』ドラマ化を機に原作者・渡辺ペコへ聞く、正解のない家族のかたち | CINRA

    結婚や夫婦のあり方は来人それぞれのはず。でも、どこか「こうあるべき」「これが幸せ」という定型が、世の中に漂っているのはなぜなのか。その定型から外れたとしたら、はたして幸せではないのだろうか? そんな問いを突きつけてくるのが、漫画家・渡辺ペコが描いた『1122(いいふうふ)』。結婚7年目の仲良し夫婦、一子(いちこ)と二也(おとや)。セックスレスで子どもなし。そんな二人が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。二也には、子どもを持つ既婚者の彼女(美月)がいて……。 結婚や夫婦のあり方を考えさせられるこの作品が、今泉力哉監督によって『1122 いいふうふ』としてドラマ化。今年(2024年)6月14日にPrime Videoにて世界独占配信がスタートした。主演を務めるのは、高畑充希(一子役)と岡田将生(二也役)だ。 2016年から2020年にかけて連載された漫画『1122』。2024年にドラ

    夫婦のあり方を考え直す。『1122』ドラマ化を機に原作者・渡辺ペコへ聞く、正解のない家族のかたち | CINRA
  • 「ドイツ人目線」で読んだ小説『関心領域』の特異性とは?文筆家マライ・メントラインが紐解く | CINRA

    メイン画像:©Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved. 小説『関心領域』を通例の文脈で「あの映画の原作」と紹介するのにはいささか抵抗がある。というのも、特に日では、公開当初から凄まじい訴求力を見せた映画版(ジョナサン・グレイザー監督)の存在感が大きく、隠喩に満ちたその内容の「解題」を求める意図で書を手にする人が多いと予測され、その場合、キャラ構築や舞台設定など多岐にわたる差異により、読者が面らうこと必至だからだ。 ありていにいえば『関心領域』とは、ナチス第三帝国に関する、ある「共通命題」を突く文芸作品と映像作品のユニット的名称である。双方、観念的な因果関

    「ドイツ人目線」で読んだ小説『関心領域』の特異性とは?文筆家マライ・メントラインが紐解く | CINRA
  • 黒沢清はなぜ、『蛇の道』を自らリメイクしたのか? 26年前の復讐譚がフランスで蘇る | CINRA

    「これまでのキャリアで最高傑作ができたかもしれない」。『ヴェネチア国際映画祭』で銀獅子賞(監督賞)に輝いた『スパイの〈劇場版〉』(2020年)から4年、世界的評価を受ける巨匠・黒沢清が自信作をひっさげてスクリーンに戻ってきた。 新作長編映画『蛇の道』は、映画ファンや批評家のあいだで熱狂的支持を受けているキャリア初期の傑作『蛇の道』(1998年)のセルフリメイク版。哀川翔・香川照之出演、「復讐」をテーマとした衝撃のサスペンスが、26年の時を超え、国境をまたいで蘇った。 物語の舞台は日からフランスへ。哀川が演じた塾講師の主人公は、フランス在住の心療内科医・新島小夜子へと設定が大きく変更された。出演者には小夜子役の柴咲コウをはじめ、殺された娘の復讐に燃える男・アルベール役に『レ・ミゼラブル』(2019年)のダミアン・ボナール、さらにマチュー・アマルリック、グレゴワール・コラン、西島秀俊、青木

    黒沢清はなぜ、『蛇の道』を自らリメイクしたのか? 26年前の復讐譚がフランスで蘇る | CINRA
  • 河合優実が語る『あんのこと』。薬物依存や過酷な家庭環境……現実のなかに映画が見出した「救い」 | CINRA

    飛ぶ鳥を落とす勢い、というお決まりのフレーズが、いまこれほどリアルにハマる新鋭俳優もほかにいない。そう、現在23歳の河合優実だ。2019年のデビュー以来、卓越した演技力や存在感で業界内外の注目をぐんぐん集め、2022年には『由宇子の天秤』(監督:春雄二郎)や『サマーフィルムにのって』(監督:松壮史)などの演技で『キネマ旬報ベスト・テン』新人女優賞、『ブルーリボン賞』新人賞、『ヨコハマ映画祭』最優秀新人賞を獲得。今年(2024年)は宮藤官九郎脚のTBSドラマ『不適切にもほどがある!』の“昭和の高校生”純子役で大ブレイクを果たし、幅広い層におなじみの顔となった。 さらに5月、『第77回カンヌ国際映画祭』監督週間に正式出品され、国際批評家連盟賞に輝いた主演作『ナミビアの砂漠』(監督:山中瑶子)も今年夏の公開が予定されている。人の芝居もさることながら、出演作の質の高さに定評があり、最前線に

    河合優実が語る『あんのこと』。薬物依存や過酷な家庭環境……現実のなかに映画が見出した「救い」 | CINRA
  • 『映画の未来へ』黒沢清×是枝裕和 | CINRA

    今回で第10回目となる東京フィルメックスは、節目を記念してシンポジウムを開催した。マスタークラスの北野武監督に引き続き、もはや日映画の代表となった黒沢清、是枝裕和の両映画監督が登壇し、『映画の未来へ』をテーマにトークを繰り広げた。日を代表する名匠であるお二人にとって、この10年はどんな意味を持っていたのか。そんな話題からスタートし、映画祭の楽しみ方や、映画制作を「教えること」についてまで話が及んだ今回のシンポジウム。映画ジャンルの魅力を再認識できる、刺激的なトークショーの模様をお届けする。 (テキスト:松井一生 撮影:小林宏彰) 黒沢清 1955年7月19日兵庫県生まれ。立教大学在学中より8mm映画を撮り始め『しがらみ学園』で1980年度ぴあフィルム・フェスティバルの入賞を果たす。その後1983年に『神田川淫乱戦争』でデビューし、『勝手にしやがれ!!』シリーズ(1995〜96年)や『復

    『映画の未来へ』黒沢清×是枝裕和 | CINRA
  • 初の有料開催となった『文学フリマ東京38』会場レポ。第一回から今回までの歴史を振り返る | CINRA

    文学フリマのことを“文芸フリマ”と言い間違えがちな知人がいる。文“学”というやや硬めの表現ではなく、やや柔らかめで、もっと広い領域を指していそうな“文芸”と呼びたくなる感覚は、わかる気がする。運営する側の一般社団法人文学フリマ事務局が「文学作品展示即売会」と表現するこのイベントは、年々規模を拡大し、日各地で開催されるようになった過程で、意外に幅広い分野をあつかうようになったからだ。 5月19日に東京で38回目、全国通算で91回目となる『文学フリマ東京38』が開かれ、私も行ってきた。東京流通センターの会場には開場30分前に着いたが、すでに数百メートルの待機列ができている。定刻の正午より列が動き、間もなく入場してみると、12時台のうちは近年の開催ほどには混んでいないと感じた。 私は2002年にスタートした文学フリマに初期からしばしば訪れてきたが、コロナ禍での中止を経た直後の『第三十一回文学フ

    初の有料開催となった『文学フリマ東京38』会場レポ。第一回から今回までの歴史を振り返る | CINRA
  • 『虎に翼』制作統括インタビュー。出産場面や玉音放送を描かなかった理由、憲法のシーンに込められたもの | CINRA

    伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。日初の女性弁護士、のちに裁判官となった三淵嘉子の実話をもとにしたドラマで、SNSなどを中心に反響を呼んでいる。 第9週(5月27日〜)は激動の展開だった。終戦を迎え、寅子は兄・直道や父・直言、そして夫・優三を失ってしまう。失意に暮れる寅子だが、公布された日国憲法をきっかけにもう一度法曹界の道へ踏みだすことを決意する。 「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない」。寅子が読んだ憲法第14条の条文にはこう書かれている。 「モデルとなった三淵さんにとっても、主人公の寅子にとっても、日国憲法は人生における最も重要なターニングポイントだった」と制作統括の尾崎裕和は話す。作の魅力や画期性について、合同取材で聞いた。 ―優三さんが出征するときの寅子とのやりと

    『虎に翼』制作統括インタビュー。出産場面や玉音放送を描かなかった理由、憲法のシーンに込められたもの | CINRA
  • 「発注」から日本社会を考える──若林恵×tofubeats対談。渋谷キャスト7周年祭をレポート | CINRA

    若林恵(左)とtofubeats tofubeats(とーふびーつ) 1990年、神戸出身。音楽プロデューサー、DJ。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生の時に国内最大のテクノイベントWIREに史上最年少で出演。その後、“水星 feat. オノマトペ大臣”がiTunes Storeシングル総合チャートで1位を獲得しメジャーデビュー。 若林恵(わかばやし けい) 1971年生まれ。編集者。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。平凡社で『月刊太陽』編集部に所属したのち、2000年にフリー編集者として独立。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。 熊井:今回のトークの成り立ちから説明しますと、今回渋谷キャストの7周年を記念して、ブックレットをつくったんですよ。そのなかで若林さん

    「発注」から日本社会を考える──若林恵×tofubeats対談。渋谷キャスト7周年祭をレポート | CINRA
  • 坂本龍一 追悼連載vol.15:音楽と社会運動の狭間で——『out of noise』というラディカルな転換点 | CINRA

    龍一の残した音楽作品は膨大で、幅広いジャンルにも及ぶ。没後に人から示唆されて、こんな仕事もしていたのだと知るものも多い。圧倒的な才覚を持つ音楽家だったとあらためて思う。だが、坂龍一という人は自身が備える音楽的な能力に対して、ある種の畏れを抱えていたのではないだろうか。そんなふうに思えるところもある。 坂龍一(さかもと りゅういち) / Photo by zakkubalan ©2022 Kab Inc. 1952年東京生まれ。1978年に『千のナイフ』でソロデビュー。同年、Yellow Magic Orchestra(YMO)を結成。散開後も多方面で活躍。2014年7月、中咽頭がんの罹患を発表したが、2015年、山田洋次監督作品『母と暮せば』とアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作品『レヴェナント:蘇えりし者』の音楽制作で復帰を果した。2017年春には8年ぶりとなるソロアルバム『as

    坂本龍一 追悼連載vol.15:音楽と社会運動の狭間で——『out of noise』というラディカルな転換点 | CINRA
  • 坂本龍一 追悼連載vol.13:YMO以前の分岐点。坂本龍一を「教授」たらしめた現代音楽家としての足跡 | CINRA

    龍一が発表した数々の音楽作品を紐解く連載「追悼・坂龍一:わたしたちが聴いた音楽とその時代」(記事一覧はこちら)。 第13回の書き手は、『commmons: schola vol.18 ピアノへの旅』にも参加した音楽ライターの小室敬幸。若き坂龍一が強く意識していた作曲家の三善晃の存在を入り口に、『千のナイフ』とYMO以前の「分岐点」とも言うべき「現代音楽のエリート路線」と決別、その先で切り拓かれたキャリアについて。 坂龍一を「教授」たらしめたクラシック〜現代音楽家としての足跡と楽曲群、そして1982年に高橋悠治に書き下ろされた“Just for Me(ぼく自身のために)”を読み解き、たどる。 批判的なビラを配ったという有名なエピソード等もあって、坂龍一と現代音楽の関係を語る際に武満徹(1930年–1996年)の名があがりがちだ(*1)。 だが東京藝術大学の作曲科在籍中に書かれた作

    坂本龍一 追悼連載vol.13:YMO以前の分岐点。坂本龍一を「教授」たらしめた現代音楽家としての足跡 | CINRA
  • 「閉鎖的なフランス映画界の体制をぶち壊したかった」 気鋭の監督ラジ・リ、最新作『バティモン5 望まれざる者』インタビュー | CINRA

    『バティモン5 望まれざる者』 / © SRAB FILMS - LYLY FILMS - FRANCE 2 CINEMA - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE – 2023 —『バティモン5 望まれざる者』は監督の実体験から着想を得たんでしょうか? ラジ・リ監督(以下、リ):『レ・ミゼラブル』と同じく、この作品で描かれていることも私が実際に見聞きしたことがベースとなっています。私の両親もバティモン5の住人のように高金利でマンションを購入し、支払いを終えたタイミングで建物の劣化を口実に追い出されてしまいました。「危険だから」と数時間以内に自宅から去るように言われることも現実にあった話です。このような出来事はパリ郊外のみならず世界各地で起きています。 『バティモン5 望まれざる者』予告編 / あらすじ:再開発計画があるこ

    「閉鎖的なフランス映画界の体制をぶち壊したかった」 気鋭の監督ラジ・リ、最新作『バティモン5 望まれざる者』インタビュー | CINRA
  • 死刑執行後も冤罪議論が続く飯塚事件。破格のドキュメンタリー『正義の行方』監督が語った「疑問」 | CINRA

    『正義の行方』は、1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された飯塚事件をめぐって、当時の捜査を担当した警察官、有罪判決を疑問視する弁護士、そして事件発生時から報道をしてきた新聞記者の3者の視点を交差させて展開するドキュメンタリー。犯人とされた人物の死刑をもって決着されながらも、多くの謎が残る実際の事件を、まるで答えのない複雑なパズルを読み解くように語る。 『正義の行方』 あらすじ:1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。DNA型鑑定などによって犯人とされた久間三千年(くま みちとし)は、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に福岡拘置所で刑死した。“異例の早さ”だった。翌年には冤罪を訴える再審請求が提起され、事件の余波はいまなお続いている。作は、弁護士、警察官、新聞記者という立場を異にする当事者たちが語る。時に激しく対立する〈真実〉と〈正義〉を突き合わせなが

    死刑執行後も冤罪議論が続く飯塚事件。破格のドキュメンタリー『正義の行方』監督が語った「疑問」 | CINRA
  • 鈴木亮平『シティーハンター』インタビュー。「令和の観客」に愛されるためにアップデートしたこと | CINRA

    北条司による人気漫画を実写化したNetflixのオリジナル映画『シティーハンター』の配信が始まり、Netflix週間グローバルTOP10で初登場1位を獲得するなど反響を呼んでいる。主人公・冴羽獠を務めたのは、作の熱烈なファンでもあり、長年にわたって冴羽獠を演じることを望んでいたという鈴木亮平だ。 配信後初となるインタビューで、並々ならぬ思いを込めた作に参加した感想を聞いた。 『シティーハンター』予告編 / 物語の主人公・冴羽獠は、東京・新宿を拠点にし、裏社会での様々なトラブル処理を請け負う超一流のスイーパー(始末屋)。無類の美女好きで、美女に出会うとタガが外れてしまうが、いざ依頼を受ければ、並み外れた銃の腕と身体能力、そして冷静沈着な頭脳で、仕事を遂行する。そんなクールでおバカでもっこりの “冴羽獠” を演じるのは鈴木亮平、ヒロイン “槇村香” 役は森田望智、獠の相棒である “槇村秀幸

    鈴木亮平『シティーハンター』インタビュー。「令和の観客」に愛されるためにアップデートしたこと | CINRA
  • 『悪は存在しない』濱口竜介監督インタビュー。「どっちとも言えない」という視座を丁寧に描くこと | CINRA

    濱口竜介の監督作『悪は存在しない』は、『ドライブ・マイ・カー』(2021年)で意気投合した音楽家・石橋英子とのコラボレーションによってつくられた。石橋から受けた映像制作のオファーをきっかけに、石橋のライブ用サイレント映像作品『GIFT』とともに生まれた長編映画だ。 長野の自然豊かな町に持ち上がった、グランピング場の建設計画をめぐって展開される物語は、地方と都市、自然と都会という単純な二項対立では割り切れないさまざまな問いを観る者に投げかける。「現実は、我々が思ってるほどはっきりと分かれているわけではない」と語る濱口。むしろその割り切れなさこそが作の核にあったようだ。作家の鈴木みのりが話を聞いた。 予告編でも初めに使われている、『悪は存在しない』のファーストショットに、わたしはとても困惑した。この映画の舞台となる長野県・水挽町(架空の町)にある、山中の林を下から捉えながら進んでいくショット

    『悪は存在しない』濱口竜介監督インタビュー。「どっちとも言えない」という視座を丁寧に描くこと | CINRA
  • Mayaと菅野よう子が名曲“Blue”に込めた、夢と自由への思い。HondaのCMでコラボした2人にインタビュー | CINRA

    Mayaと菅野よう子が名曲“Blue”に込めた、夢と自由への思い。HondaのCMでコラボした2人にインタビュー Hondaの新テレビCMに抜擢され、アニメ『カウボーイビバップ』の最終話ED曲“Blue”を伸びやかに歌い上げた新人アーティストのMaya。去年3月にTikTokに投稿した弾き語り動画が380万回再生超え(※2024年4月時点)を記録するなど世間の注目を集めているが、米国在住の高校生であるほかは、謎に包まれた存在だ。 23年ぶりに再定義された、Hondaのグローバルブランドスローガン「The Power of Dreams How we move you.」が目指すものを具体化したという今回のCM。“Blue”を作編曲した作曲家の菅野よう子が、25年ぶりに新バージョンをプロデュースしたことでも話題になった。 魂の自由を歌った“Blue”と菅野よう子、そしてこれから世界に翔び立と

    Mayaと菅野よう子が名曲“Blue”に込めた、夢と自由への思い。HondaのCMでコラボした2人にインタビュー | CINRA
  • 私たちは、互いにとって「異人たち」なのか? アンドリュー・ヘイ監督が語る、孤独と痛み、クィアな愛 | CINRA

    を代表する名脚家・山田太一が1987年に発表した長編小説『異人たちとの夏』。2003年に英訳され、世界的に広く読まれているこの名作を、『荒野にて』(2017年)のアンドリュー・ヘイが映画化した。それも、特別にパーソナルなかたちで。 舞台は現代のロンドン。40代の脚家・アダムは、幼いころに両親を交通事故で亡くしてから孤独な生活を送っていた。ある夜、アダム(アンドリュー・スコット)は同じタワーマンションに住む若い青年・ハリー(ポール・メスカル)と出会って恋に落ちる。一方、幼少期を過ごした家を訪れたアダムは、この世を去った当時と同じ姿をした両親と再会。家族との失われた時間を取り戻そうとしながら、アダムはハリーへの愛情を深めていくが、その幸福なひとときは決して長く続かなかった――。 1973年生まれのヘイは、以前から、自らと同じく1980年代に成長したゲイ男性を表現する映画を構想していたと

    私たちは、互いにとって「異人たち」なのか? アンドリュー・ヘイ監督が語る、孤独と痛み、クィアな愛 | CINRA
  • 坂本龍一 追悼連載vol.10:エレクトロニカの季節——アルヴァ・ノト、フェネスらとの深く、対等な交流 | CINRA

    龍一が発表した数々の音楽作品を紐解く連載「追悼・坂龍一:わたしたちが聴いた音楽とその時代」(記事一覧はこちら)。 第10回の書き手は、Shuta Hiraki名義で音楽制作も行なうライターのよろすず。Alva Noto、Fennesz、クリストファー・ウィリッツ、テイラー・デュプリーとのコラボレーション作品群を2回に分けて取り上げる。 IDM/エレクトロニカを経てより抽象的な電子音楽へと手を伸ばしはじめた2000年代後半、坂龍一は突如、文字どおり「現在進行形の音楽家」として私の前に姿を現した。 以降、リアルタイムでリリースされる作品を中心に、まばらではあるものの氏の作品を聴いてきた今となっても、やはり私にとって坂龍一の音楽として真っ先に聴こえてくるのは、Alva Noto、Fennesz、クリストファー・ウィリッツ、テイラー・デュプリーとのコラボレーション作品におけるピアノであり

    坂本龍一 追悼連載vol.10:エレクトロニカの季節——アルヴァ・ノト、フェネスらとの深く、対等な交流 | CINRA
  • 英国音楽の底流をなすもの。ジャイルス・ピーターソンが語る、UKジャズ、ジャングル新世代の台頭の背景 | CINRA

    近年、新世代のジャングル/ドラムンベースのプロデューサーやDJが注目を集め、UKのジャズシーンは新たな黄金時代を迎えている。その背景にあるものは何なのだろうか。 1980年代後半から90年代初頭、アシッドハウス(※)の熱狂に沸く英国において誕生したジャングル。そしてほぼ時を同じくして成立したアシッドジャズは、DJが主体となった英国のジャズ文化の新局面だった。題に入る前に、この2つの音楽について簡単に振り返る。 ジャングルとは何か。『DUB論(改訳決定版)』(2023年、水声社)のなかでマイケル・ヴィールは、「ジャングル(別称ドラム&ベース)は一九九○年頃にイングランドで発展した、ジャマイカのダブとDJミュージック、イギリスのテクノのハイブリッドだ」と記し、その音楽的特徴を「ダブ(ドラムとベースを強調したミックスとアトモスフェリックなサウンドスケーピング)とヒップホップ(抜粋したブレイクビ

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