P69 ”こう考えると、私が何であるかは、自分が自分以外の「他のもの」と、どのような関係をつくり出していくのか、によることになる。その実践の結果ではなく過程を、私は「主体性」と呼びたい。 われわれの存在とはわれわれの関係である。よって、その存在の充実はその関係の充実である。そして関係の充実とは、すなわち「他者」とのかかわりの対等性と多様性をできうる限り求めていくことである。ならば、われわれの豊かな生とは、関係が実際にはお互いの異なりとして成り立つがゆえに、その異なりに耐え、そしてそれを受け容れ合って、ついにはともに楽しめることである、と私は思う。” ◇ P113 ある禅寺に仲の良い兄弟弟子がいた。あるとき、弟弟子のほうが兄弟子の部屋に遊びにいくと、兄弟子がお茶をたてている。 「誰のためにお茶をたてているんですか」 「飲みたいという人がいるんだよ」 「だったら、その人にたてさせればいいじゃな