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ブックマーク / amberfeb.hatenablog.com (5)

  • 喪失、災い、旅立ちの荷物――『すずめの戸締り』感想 - 宇宙、日本、練馬

    新海誠監督の最新作、『すずめの戸締り』をみました。『君の名は。』、『天気の子』を経て、それらの作品の主題系を継承し、さらにむき出しの作家性が露出した、そういう映画だったと思います。以下、感想。物語上の重要な仕掛けに触れています。 少女は夢をみていた。草原と廃墟の夢。母を探してさまよう。あてどなく心細げに歩く。誰かに出会う。そうして目覚める。生まれた地を離れ、母とも死に別れて叔母と暮らす現実にもどる。日列島、現代。宮崎県の海沿いの街に住む高校生の少女、岩戸鈴芽は、登校中に不思議な雰囲気をまとう青年と出会う。廃墟を探しているという青年が気になり、そのあとを追って山上の廃墟にたどり着いた鈴芽はそこで不可思議な扉をみつける。廃墟のただなかの扉を開けると、そこには異界――ある種の人々は「とこよ」とよぶ――が広がっていた。ひとり廃墟で困惑する彼女は、地面に刺さった要石を引き抜いてしまう。それが大いな

    喪失、災い、旅立ちの荷物――『すずめの戸締り』感想 - 宇宙、日本、練馬
  • きっと何者かになれるわたしたちが、何度でも呪いを打ち払うだろう——『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる』感想 - 宇宙、日本、練馬

    『RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる』をみました。このようなタイミングでこの作品が公開されること、TV版もそうでしたが、作品自体が歴史に要請されて存在する、そのように錯覚してしまうような感覚があります。恐るべきことです。以下、感想。 高倉冠葉、晶馬の兄弟は、病に侵された妹の陽毬を救うため、「ピングドラム」を手に入れるため奔走する。亡き姉の幼なじみの男をストーキングする少女、荻野目苹果のもつ日記帳が「ピングドラム」なのではないかとあたりをつけた兄弟だったが、何者かに日記帳は奪われてしまう。そんななか、苹果の姉、桃果は、95年にある集団によって起こされた、地下鉄テロ事件によって亡くなったのだと知り、兄弟は戦慄する。なぜなら、そのテロ事件の首魁は、彼らの両親だったのだから...。95年の事件をめぐる呪いが3人の兄妹を翻弄し、運命が紡がれる。 201

    きっと何者かになれるわたしたちが、何度でも呪いを打ち払うだろう——『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる』感想 - 宇宙、日本、練馬
  • 黄昏と殺伐の時代の生存戦略——テレビアニメ&アニメ映画ベスト10で振り返る2010年代 - 宇宙、日本、練馬

    はやいもので、もう2020年も暮れようという感じでございますが、2010年代からあまり遠く離れないうちに、わたくしにとっての2010年代の経験とはなんだったのか、書き留めておこうと思います。この試みはなかなか難儀なもので、総花的に語ろうとするといつまでたっても終わらず中途で投げ出してしまったのですが、さしあたってこの10というリストを作成し、そこにわたくしの経験を託すという仕方であれば、零れ落ちるものは膨大になるでしょうが、ひとまず形にすることはできるだろうと思いまして、その方針でやっていくことにしました。 さしあたってテレビアニメ10、アニメ映画10をセレクトし、わたくしの10年代を語っていきます。わたくしのフィクション経験を広くカバーしたい気持ちがあるため、制作会社や制作者などの固有名がなるべく重複しないかたちで選出しました。よって純粋なベスト10とはやや趣が異なるわけですが、や

    黄昏と殺伐の時代の生存戦略——テレビアニメ&アニメ映画ベスト10で振り返る2010年代 - 宇宙、日本、練馬
  • マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読む - 宇宙、日本、練馬

    今日の未明、どうにも眠れる気がしなかったんでなんとなくマックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資主義の精神』をぺらぺらめくってたんですが、いや何故か妙に引き込まれて、結局今日一日で通読してしまいました。以前に頁を最後までめくってみたときは、それほど熱心に読めなかったんですが、いや今回はめちゃくちゃ惹かれるものがあったというか、頭に入ってくる感じがあったんですよね。苦悶の叫びをあげながら頭を抱えて読み進めている『古代ユダヤ教』より全然頭に入ってきた感じがある。せっかくなので要約チックなものを書き留めておこうかなと思います。 第1章 問題 1 信仰と社会層分化 プロテスタントの経済的成功 第1章第1節の導入部分で提起されるのが、「近代経済においてプロテスタントが上の方の地位を占めてないか?」という疑問。そこから踏み込んで、なぜプロテスタントが資主義に適合的なのか?という問いが提出

    マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読む - 宇宙、日本、練馬
  • 村上龍への愛をこめて―『69 sixty nine』と『五分後の世界』 - 宇宙、日本、練馬

    愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) 作者: 村上龍 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1990/08/03 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 60回 この商品を含むブログ (130件) を見る 『残響のテロル』1話感想 今、太陽を盗めるのか? - 宇宙、日、練馬 先日から『残響のテロル』のことがなんとなく頭から離れずにいるんですが、ぐぐったりしてみたらなんと、主人公の一人の名前が村上龍『愛と幻想のファシズム』から取られていたんですね。高校の時分に村上龍にどはまりした人間として、自分で気付けなかったのは不覚としか言いようがない。それでなんとなく、村上龍への熱いパトスがふつふつ湧きあがってきたので、せっかくなので書いとこうと思います。 意外と作品を読んでいなかった 村上龍への熱いパトスは湧きあがってきたけれども、思い返してみればその作品をそれほど読んでいないような気もす

    村上龍への愛をこめて―『69 sixty nine』と『五分後の世界』 - 宇宙、日本、練馬
    akihiko810
    akihiko810 2014/07/16
    「69」とか石田衣良「4TEEN」、金城一紀「レヴォリューションNo.3」みたいなぶっとび青春小説は、読めば面白くはあるがあまり文学性がないので、何というか薄っぺらい感じはする
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