→紀伊國屋書店で購入 「言葉と体を貼り合わせる」 受賞作とかベストセラーとか、世が騒いでいるものにはなかなか素直に手を伸ばせないひねくれ者の私だが、今回の芥川賞受賞作は気になってすぐに買って読んだ。 一読して頼もしい女性作家が登場したものだと思った。関心領域が広く、それを作品に盛り込むことにも意識的だ。女の生理感覚を切り札にたらたらと書いているようにみえて、まったく逆なのだ。筋立て、着想、構成、言葉のセンス、文章のリズムなど、小説を成り立たせるさまざまな要素が緊密に結び合い、ひとつの建築物を見るようだった。 語り手の「わたし」のところに、大阪に住む姉巻子とその娘がやってくる。その二泊三日の短い滞在中に巻子と娘の確執が溶解する、と言葉にすると単純なストーリーだが、細部を描き込んで濃密に仕上げている。 巻子は娘の緑子がまだ小さいころに夫と離婚し、ホステスをしながら娘を育てている。最近、体がやせ
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