前回は、巷をにぎわす資本主義批判に共通する問題点について指摘しました。本日は、資本主義批判の背景に存在する政治性に焦点を当てたいと思います。 まず、歴史的な構造からいくと、資本主義がどのように成立するに至ったかということがあります。経済史の成果を乱暴にまとめると、近代資本主義の生誕地である英国では、資本主義が時間をかけ、一進一退を繰り返しながら徐々に進行しました。資本主義が自由主義の基盤となり、やがて民主主義にいたるモデルケースです。なにも、このようなルートが正統で他が間違っているということではないのですが、何しろ一番最初に成立したので、多くの国の参考事例となって、良かれ悪しかれ我々の思考を縛っているわけです。 大陸欧州は、資本主義が確立する前に革命を通じて自由主義と民主主義を行きつ戻りつさせたフランス型と、自由主義と民主主義を抑制しながら資本主義を推し進めたドイツ型があります。米国は、英