呼びかけられても人の存在に気がつかない、くすぐられるとパニックを起こすが転んでけがをしても痛がらない、といった自閉症児の行動はどうして起こるのか。一見不可解な自閉症児の行動に一貫した論理を見出し、自閉症の現象学を立ち上げる。既存の哲学の前提を組み替える、画期的な試み! はじめに――自閉症から描く哲学 第一章 模様の世界から視線触発へ 1 目が合う驚きと視線触発 2 人のいない世界/模様の世界 3 視線の誕生と世界変容 第二章 視線はなぜ怖いのか――感情の図式化と間身体性 1 視線恐怖 2 感情の理解 3 自他の区別 4 間主観的独我論 補 論 他者の現象学の再構想 1 従来の現象学における他者論 2 視線触発の内的構造 3 視線触発の次の段階 第三章 流れない時間――不測の事態と現実、視線の強度 1 フッサールの感性的時間論と自閉症 2 未来 3 過去について――自閉症におけるフラッシュバ