月と日を掌《てのひら》の中に得たような喜びをして、 入道が源氏を大事がるのはもっともなことである。 おのずから風景の明媚《めいび》な土地に、 林泉の美が巧みに加えられた庭が座敷の周囲にあった。 入り江の水の姿の趣などは 想像力の乏しい画家には描けないであろうと思われた。 須磨の家に比べるとここは非常に明るくて朗らかであった。 座敷の中の設備にも華奢《かしゃ》が尽くされてあった。 生活ぶりは都の大貴族と少しも変わっていないのである。 それよりもまだ派手《はで》なところが見えないでもない。 【源氏物語 13帖 明石(あかし)】 連日のように続く、豪風雨。 源氏一行は眠れぬ日々を過ごしていた。 ある晩、二条院から紫の上の使いが訪れ、 紫の上からの文を読んだ源氏は 都でもこの豪風雨が発生している事を知る。 この悪天候のため、 厄除けの仁王会が開催されることになり、 都での政事は中止されていることが
![【源氏物語353 第13帖 明石15】明石入道の屋敷は、須磨の家に比べると明るくて朗らか。座敷の中の設備にも華奢が尽くされ 生活ぶりは都の大貴族と変わりない。 - 源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/98f3196cd8d0f38bd01ab890c3240c7413dbd810/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fs%2Fsyounagon%2F20230512%2F20230512212606.png)