日本の主権者は私たち一人ひとりなのに、長時間労働がまん延していれば、公共のことについて考える時間も体力も奪われてしまう。民主主義の大切さが問われているのにこれでいいのだろうか。 民主主義社会の基礎は、ある社会を構成しているすべての人々は平等であるという理念の上に成り立っています。フランス革命以前の社会で、人々は平等ではなく、封建制に基づく支配者と被支配者にわかれていました。フランス革命はその関係を否定し、社会を構成するすべての人々は平等で、その人々が政治的決定を担うのだとしました。 しかし、実際の政治は、フランス革命後も事実上、旧来の特権階級が政治的権力を握り、19世紀の産業社会が始まるころでも、労働者のほとんどは政治的な決定から疎外されていました。選挙権を持っているのは、財産を持っている人、すなわち有産者たちだけでした。 そうした中で政治的権利を労働者に解放せよという運動が19世紀後半に