著者:町田 康出版社:新潮社装丁:単行本(252ページ)発売日:2018-03-22 ISBN-10:4104215031 ISBN-13:978-4104215034 本気の遊びで、言葉に魂をこの世でいちばん大事なのは正直であることだ、と言われて否定する人はいない。だがどうだ。金持ちは力を振るい、美人は得をし、きれいごとを口にする人で世の中は満ちている。けしからんではないか。九界湖の畔(ほとり)にたたずむリゾートホテルが舞台の本書で、町田康が導入するのは吉本新喜劇の形式だ。 たとえば雑誌ライターの赤岩は「多様な価値観を認め合う共生社会」なんて言いながら、その実、自分の運さえ良くなればいいとばかり、隠された地元の神社を荒らそうとする。 彼女にとって言葉とは単なる道具だ。口当たりの良い言葉を吐く彼女のような人々に対抗するべく、様々な手法が駆使される。「カップル」は「カッポーレ」に横滑りし、「