今のようなとき、政治家も財界もかさにかかって「果敢な金融緩和をしろ」と中央銀行に求めるインフレバイアスはどこの国にもみられるが、異常な金融政策は異常な結果をもたらす。中央銀行の独立性が定められているのは、こうした政治的圧力から守るためだ。 日本の1980年代のバブルも、1985年のプラザ合意以降の円高不況に異常な金融緩和でのぞんだことが原因だった。日銀が1989年に利上げしたとき、橋本蔵相は「利上げを撤回させる」と恫喝した。このためバブル崩壊後も、日銀はすぐ利下げしなかった。ふたたび上げるとき、政治家との争いになることを恐れたからだ。これが誤りだったことは今からみれば明らかだが、その原因をつくったのは政治家のインフレバイアスなのだ。 1997年のアジア経済危機と翌年のLTCM破綻のあと、FRBは大量の流動性を供給し、それを1年以上続けたことがITバブルに火をつけたといわれている。そして