防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄さんが選ぶ「戦術と戦略が分かる本」。3回目は、軍事とビジネスに共通する課題を取り上げる。どんな状況でも自分の強みを相手の弱みにぶつけることが肝心。しかし、第2次世界大戦を振り返れば、どの国も敵国の戦力分析は詳細に行っていたが、自国の分析は怠っていた。 不確実な未来にどう対処するか ロシアとウクライナの戦争が始まってほぼ1年がたち、中国と台湾の緊張も高まっています。はたして、これから日本はどうなるのかと心配している人も多いのではないでしょうか。 昨年末、私は『 現代戦略論 大国間競争時代の安全保障 』(並木書房)という本を出版しました。日本は世界的に見ても厳しい安全保障環境に置かれています。軍事戦略論だけでなく、経営戦略論にも触れながら、日本はどのような戦略を持つべきか──といったテーマについて解説したのが、この本です。 例えば、中国はミサイルの保有数でア