「若者の保守化」は、ここ数年、研究者の間でも話題にされるようになったテーマだ。もちろん、その内容に是非はあるんだけど、少なくともそういう素材を研究テーマとして選ぶことが妥当だと感じられるくらいには、「保守化」は共通了解になっているのだろう。たとえば関東社会学会の機関誌である『年報社会学論集』では、2007年に『「保守化」の社会過程を読み解く』と題した特集が組まれている。 それ以外にも、たとえば友枝敏雄「現代青年の規範意識の変容――個人化と保守化の同時進行」(日本青年心理学会大会発表論文集)では、福岡県内の高校を対象にした調査から、「(1) 高校生の規範意識は、大人世代のそれとは大きく変化しており、若者のモラルの内容が大きく変化しているのではないか」「(2) 高校生の社会観、国家観に保守意識が浸透しており、いわゆる有名大学進学するエリート校ほど、ナショナリズム的な意識が強い」という知見が提示