ブックマーク / honz.jp (12)

  • 『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」 - HONZ

    興奮冷めやらぬままこれを書いている。すごいノンフィクションを読んだ。大晦日に読み始め、気がついたら年が明けていた。このは読み始めたら途中で止めることができない。 ある未解決事件の謎に単身挑んだジャーナリストが、ファクトを丹念に積み上げ、真相に迫る。ところが、あらゆる可能性を吟味し、これしかないという仮説に辿り着くが、国の調査結果はこれを否定するものだった。目の前に機密の高い壁が立ちはだかる。明らかに国は何かを隠しているのに、その先に進むことができない……。迫力ある一冊だ。これが初めての単著というから驚く。デビュー作にしてこれほどの傑作というのは、近年記憶にない。 著者が挑んだのは、日の重大海難事件史上、まれにみる未解決事件である。2008年6月23日、第58寿和(すわ)丸は、千葉県銚子沖にいた。犬吠埼から東へ約350キロの太平洋上である。船員は20名。この朝はカツオの群れを追って操業し

    『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」 - HONZ
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    anmin7 2023/01/05
  • 『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方 - HONZ

    記者の仕事は過程がそのまま表に出てくるのが魅力的だ。記者が何に問題意識を持ち、どう行動して、どんなメッセージを込めるのか。好きな報道や作品には、記者の怒りや悲しみ、執念さえも感じることが出来る。記者一人ひとりの存在自体が物語性を帯びていて面白い。 では、「地方紙」の記者はどうか。全国紙の記者と地方紙の記者の違いについて、私は書を読むまで考えたことがなかった。分かったことは、地方紙の記者が抱く怒りや悲しみは、その地域で生きる人々の怒りや悲しみであった。住民と共に生きて、共に歩むからこそ、地方メディアが生かされる。 書は、秋田魁新報、琉球新報、毎日放送、瀬戸内海放送、京都新聞、東海テレビ放送の6社を取り上げる。新聞記者やドキュメンタリー制作者などのメディアの担い手に取材を行い、社内の意思決定の過程も含めて「地方メディアのリアル」を描いた作品だ。 地方紙の記者には、地元の人間もいれば、大都市

    『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方 - HONZ
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    anmin7 2022/02/19
    地方紙の社長の子ってくらい上級国民だったら学も実績もお望み次第って話?
  • ざっかけない変態料理人の本 『おいしいものでできている』 - HONZ

    昨年、お昼ご飯にレトルトカレーばかりべている時期があった。なかでも「エリックサウス」の南インド風チキンカレーの味が気に入って、二日に一度はべていた。お店には行ったことがないのだが、レトルトで病みつきになった。外出自粛の折、ありがたい限りである。レトルトなんて、という評価はいまどき非常識なのかもしれない。 そのスタンスは書にもある。「ざっかけない(=ざっくばらんな)」という言葉が何度もでてくるのだ。人気店「エリックサウス」の創業者が、ド定番の「おいしいもの」を一品ずつ語っていく。中身は、月見うどん、サンドイッチ、チキンライス、幕の内弁当、小籠包、カツカレー、ホワイトアスパラガス…どれもこれも、身近な料理材たちである。 さすがは自称「変態料理人」。へのこだわりがもの凄い。でもグルメが「おいしいものをべるのが好きというよりはむしろ、おいしくないものをべることが嫌い」な人たちだと

    ざっかけない変態料理人の本 『おいしいものでできている』 - HONZ
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    anmin7 2021/06/09
    何の御利益があるのか知らんがおっさん達が媚び媚びなの醜いわ。
  • 『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある! - HONZ

    職場のそばにわりと大きめの書店がある。いつの頃からか売れ筋の棚に「反日」や「愛国」を打ち出したばかり並ぶようになった。百田尚樹はその棚の常連である。一昨年出版された『日国紀』もいまだに棚の一角を占めている。『日国紀』は関連をあわせ累計100万部を突破したというし、『永遠の0』や『海賊とよばれた男』のようなメガヒット作品もある。百田はいまもっとも売れるを出す作家だ。 ネットでもその存在感は大きい。ツイッターのフォロワー数は約46万で、その発言はしばしばネットニュースになる。中国韓国をボロクソにけなしたかと思えば、新型コロナウイルス対策で安倍首相を痛烈に批判する。リベラル陣営はそのたびに苛立ったりざわついたり翻弄されながらも発言から目が離せない。百田がインフルエンサーであることは衆目の一致するところだろう。「百田尚樹」は、いまやその固有名を超えて、ひとつの「現象」であると言っていい

    『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある! - HONZ
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    anmin7 2020/07/01
  • 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 - HONZ

    1968年のまだ冬か春浅き頃のことだ。父が会社からシールのシートを一束持って帰ってきた。私は幼稚園の年少組から年中組に上がる頃。満4歳である。 シールは「ウルトラセブン」の番組宣伝用だった。父の勤める広告代理店は、TBS系列の日曜夜7時から30分間、大手製薬会社が単独でスポンサーをしていた番組枠を担当することを、大きない扶持ちにしていた。その枠で前年秋から放送されていたのが「ウルトラセブン」である。子供向きの枠だから子供に宣伝させるのが早道。私が友達にシールのシートを配る。そのために、父は宣材を家にときおり持ち帰ってきた。「ウルトラセブン」の前に同じ枠で放送されていた「ウルトラマン」や「キャプテンウルトラ」のときから、そうだった。 「キャプテンウルトラ」でも同様のシールがあった。「ウルトラマン」のときも似た宣材のあった記憶がある。一枚のシートに、何枚もの円形のシールが貼ってある。小さめの

    『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 - HONZ
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    anmin7 2020/03/09
    なんというか、当時ポケモンあったらハマってたんやろか。/ “そう、飢渇なのだ。” これだよな。
  • 『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 - HONZ

    『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 告白しよう。評者はずっと、なるべく他人と関わりたくないと祈りながら生きてきた。楽しいことも悲しいことも何も経験したいと思わない。誰かと揉めたり争ったりするなどもってのほかだ。人生の糧になる? 知るか。全部ストレスだ。願いは一つ、社会的接点を一切放棄して、永遠に寝床で布団にくるまっていたい……。 こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同が得られるわけでもなし、むしろメソメソうるさい奴だ、望みどおり早く消えればと思われておしまいだ。だから書を読んだとき、やっとこの始末に負えない思いを打ち明けられる、と晴れやかな気分になった。助かった。自分の抱えてきた屈はすべて思想家エミール・シオランが書いてくれていた。書は、彼の人生とそのペシミズム

    『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 - HONZ
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    anmin7 2020/02/06
    こんな奴でも生涯の伴侶がいるということをわすれてはなりません
  • 『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』膨大な弱いつながりを見つめ直し人間らしく生きる哲学 - HONZ

    我々はSNSやソーシャルゲームに備わる巧妙で強い依存性のある仕掛けに心を絡め取られている――というのは、評者が先月レビューしたアダム・オルター『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社)の主張である。記事への反応を見るに、こうしたテクノロジーの利用法にモヤモヤしている方は大勢いるんだなあ……と思わずにはいられなかった。 さて書『デジタル・ミニマリスト』は、上述のアダム・オルターの研究等を踏まえ、フェイスブックやツイッターといったデジタルテクノロジーから距離を置くメソッドを紹介し、孤独に思惟思索をしたり趣味に耽溺したりする時間をつくって人間らしく生きようと提起する一冊である。デジタル・ミニマリズムとは以下のように定義される。 自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放

    『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』膨大な弱いつながりを見つめ直し人間らしく生きる哲学 - HONZ
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    anmin7 2019/10/08
    ブクマカはもう手遅れじゃわい
  • 『思いどおりになんて育たない: 反ペアレンティングの科学』あれこれ子育てに悩んだら、真っ先に読んだらいい - HONZ

    『思いどおりになんて育たない: 反ペアレンティングの科学』あれこれ子育てに悩んだら、真っ先に読んだらいい 書のタイトルから、まずわかることは、子どもが思い通りに育ってくれたらいいなという期待、思い通りに育てたいという欲望があるということだろう。それは、なぜだろうか? 急がば回れ、その背景にある社会動向の変化を見てみよう。昨今、親になった世代は充実した教育を受けてはいるものの、子どもの世話をした経験はほとんどないという状況だ。家族構成の変化、要するに核家族化が進んだことが影響している。核家族以前はおばさんおじさんが家にいて、年の離れた兄弟もおり、親族が近くに住み、身近に誰かが子育てをしている状況があった。子どもの頃から日常の風景から自然と見て学び、ときに子守をすることで子育ての一部を体験していた。 しかし、核家族では自分が結婚し、子どもを産んでからがはじめての子育てになる。コミュニティにつ

    『思いどおりになんて育たない: 反ペアレンティングの科学』あれこれ子育てに悩んだら、真っ先に読んだらいい - HONZ
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    anmin7 2019/09/27
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
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    anmin7 2019/04/20
    言いたいことはわかるんだけど、ここに書いてあることはライターの主張で本の紹介ではありません。
  • 『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点 - HONZ

    選挙があると思い出す光景がある。ずいぶん前のことだが、番組でお付き合いのあった関係で、ドクター・中松の街頭演説を見に行った。場所は下北沢駅の北口だった。 ジャンピングシューズをはいたドクターが登場するとたちまち人だかりが出来たが、聴衆はビヨ~ンビヨ~ンと跳ねるドクターの動きにつられて顔を上下させるばかりで、せっかくの演説を誰も聴いていないんじゃないかと思った。けれども皆とても楽しそうだった。子どもたちははしゃぎながら一緒に跳ねているし、気がつけばちょっとした祝祭空間のようなものが駅前に出現していた。 選挙には独特の魔力があるという。そこは人間の性が露わになる場所だ。必死でお願いする候補者に対して、信じていた人が見向きもしてくれなかったり、かと思えば見ず知らずの人が手を差し伸べてくれたりもする。 選挙は祭りであり、候補者にとっては人生の喜びや理不尽さを知る場でもある。だからこそ選挙は、いち

    『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点 - HONZ
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    anmin7 2017/12/01
    供託金が少額、もしくは無料だったらこういう人達は選挙に出ないだろうなーと。
  • 『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

    先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこ 『子どもたちの階級闘争』を読んだ。素晴らしかった。 300ページで定価2592円って、どれだけ部数を絞ってるんだ? と最初腹立たしく思ったが、読んでみて、このクオリティだったらまったく惜しくない。 1996年にクールな英国に憧れて渡英した筆者は保育士だ。 託児所の日常が描かれるのだが、ここで凄いのは、その日常を子どもたちやその母親、そして保育士たちの世界のドラマで読ませつつ、英国の政治そのもの、のみならず世界のあちこちで起

    『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ
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    anmin7 2017/08/28
    それでもブレカスの出羽守っぷりはなあ
  •  紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ

    学生時代、生物調査のために同級生たちと森でテント生活をしたことがある。当然、トイレはない。必然的に穴を掘ってそのへんにすることになるのだが、その方法には鉄の掟があった。 「紙は使うな、葉っぱで拭け」 ティッシュは簡単には分解しない。自然環境を学ぶ者として、紙を使わないことは最低限の自然への礼儀であった。 「たかが、野ぐそ」と侮るなかれ。適した葉っぱを見つけるには、鋭い観察眼と植物の知識が要求される。もし、トゲのある葉っぱだったら。見た目はOKでも、毒があったら。トゲや毒はなくても、せっかくならば保水力のあるやわらかな質感のものを使いたい。 こうして私たちは「究極の葉っぱ」を求めて観察し、図鑑を調べ、最適と思われる葉っぱをもつ植物が生える環境をさぐり、植物の知識だけでなく仲間同士の絆をも深めていった。情報交換しなければ、こんな極めて特化された用途を教えてくれる資料など、なかったからだ。 とこ

     紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ
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    anmin7 2017/02/16
    増田必読の書
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