孤独についての考察 ― 不安障害患者の孤独感 ― パニック障害を診ていると、“先生!この病気になってから寂しいと感ずることが良くあります”と言う患者さんにしばしば遭遇します。このようなことから、今回は「孤独」について考えてみました。 「人はだれしも、自分自身の生涯を一人で生き、自分自身の死を一人で死ぬものです」(ヤコブセン)。だから、「生き物は全て孤独である。そして人間は自らが孤独であることを最も良く知る者である。」(E.アラン)。孤独を感じたことのない人間はいないと思います。孤独は人間に与えられた正常な心理の一つだと考えられます。孤独に相対する行動-群れると言う行動は動物本能の一つです。ところが、人々の中には、孤独に親しんだり、孤独を望んだりする人がいます。たとえば、「孤独とは、港を離れ、海を漂うような寂しさではない。本当の自己を知り、この美しい地球上に存在している間に、自分たちが何をし