音楽を聴きながら部屋でぼんやり読書をしていたところ、iTunesのシャッフル機能があまり熱心に聴いた覚えのない曲を再生しはじめた。冒頭は重い溜息のようなピアノ。それに応答するかのようにヴァイオリンが鳴り、誰かが書いたヴァイオリン・ソナタだということが分かる。でも正確誰かが特定できない。「この重苦しい感じ、ショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタはこんなだったかな……」と思って本から顔をあげ、パソコンの画面に目を向けて曲名を確認するとセルゲイ・プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番だった。 ピアノの低音を強調したフレーズが繰り返され、その上でヴァイオリンが静かに変化していく第1楽章が終わると、打って変わって狂ったように騒がしい第2楽章がやってくる。4楽章構成の作品は、第3楽章でまた緩やかなテンポになり、第4楽章はまた速く(テンポは“Allegrissimo”)。緩急のカウンターパンチのえ