二日ぶりにまわってきた、当番の朝。 相変わらず雨は止まず、風も時折り激しく吹き荒ぶ。 身に着けていた雨着は、家を出てすぐに水浸しになった。 この村の先にある崖を挟んだ、対岸の隣村が見渡せる高台へ、今日も向かう。 軋む階段を一段一段、踏みしめながら上まであがると、前任者は既に姿を消していた。殺風景で狭苦しい板の間が、塞ぎ切れない雨風に晒され濡れていた。 真ん中にある、暖炉の傍に身を寄せるしかなかった。 はぁはぁ、と白い息を吐きながら、弱弱しい陽炎火に薪を焼べる。 雨が降り続けて、十二日目の朝を迎えたのだった。 かじかんだ両手を擦り合わせる。 しかし、幾度重ねようと、胸打つ不穏な鼓動をなだめることはできない。 降り続く連日の雨、雨雲に覆われ狭まった空。 霞んだあの山脈の先を見据えるが、以前として灰色掛かっている。 残された期限はもう、一日しかない。 どうか雨よ、どうか降り止んではくれまいか。