チュニジアの暴動から飛び火したかに見えるエジプトの暴動だが、これはおそらく、民主化とはあまり関係のない軍部のチキンゲームだろうし、緩和なクーデターと言ってもよいだろう。 エジプトの暴動で、近年の事態ですぐに連想されるのは、2008年のそれである。食糧高騰によって政府公営販売所の食品販売価格と市場価格の乖離が起こり、民衆が公営販売所に殺到して、暴動となった。死者は10人以上も出た。 同年はムバラク大統領が80歳になる記念の年でもあり、とりあえずの反体制派が中心となり、大統領の誕生日にストライキを計画した。このおりも、インターネットが活用されものだった。もっともエジプトでは強権政治が続き、かつチュニジアのように中産階級が厚くないことから、反政府勢力は運動の核とはなりえない。形の上では国際原子力機関(IAEA)事務局長エルバラダイ氏が帰国し民主化を語ったが、当面の動向として彼の支持層はないに等し