高度成長期の「いざなぎ景気」を超える長期の景気拡大が確実になる中、人手不足を理由に倒産する企業が急増している。調査会社の帝国データバンクによると、今年の「人手不足倒産」は11月末で90件に達し昨年1年間の72件を既に上回った。統計を取り始めた2013年以降では最多。専門家は「人手不足が日本経済に深刻な影響を与える懸念が強まっている」と警告する。 (木村留美) 景気の回復基調を受けて企業全体の倒産件数は減少している。帝国データバンクの調べでは一六年は八千百六十四件で、一三年の件数を約20%下回った。一七年も十一月末で約七千七百件にとどまる。 だが社員の離職や人材を確保できないことが要因で売り上げが減るなどし、経営が破綻する人手不足倒産は増えている。一三年は三十四件だったが一六年はその二倍超に増加。多くの人手が必要で労働環境が厳しい介護や保育などのサービス業、建設や運送で増加が目立つ。東京商工