東京慈恵会医大付属病院(丸毛啓史院長、1075床)は画像診断部、内視鏡部、病理部が作成した診断報告書を要約し、原則として全ての患者に交付することを決め、2018年 4月から実施に踏み切った。画像や病理検査で患者のがんが見つかっていながら医師間の連絡不十分のため放置されるという医療ミス事件が続いたことからの対応だが、思い切った改善策は全国の病院の注目を浴びそうだ。 肺がんの発見が遅れた 一番のきっかけは、肝臓病で同病院に通院していた70歳の男性患者が貧血で、15年10月夜、救急入院してきたこと。CT検査で肺に異常が見つかり、当直医は診断報告書に記載した。しかし、翌日から担当した肝臓病チームは画像は見たものの診断報告書は読まず、患者は退院後も 1年間通院したが気づかれないままだった。16年10月に再入院した時に撮影したCT検査で肺がんが確認、手遅れで17年 2月に亡くなった。 この患者は05年