1912年4月15日、英国から大西洋を横断して米国ニューヨークへ向かう初航海の途中で沈没した豪華客船「タイタニック号」。乗客乗員1513人(諸説あり)が犠牲になり、当時「史上最大の海難事故」といわれた悲劇の原因は、いまも謎に包まれている。『日本史サイエンス』(講談社ブルーバックス)で歴史の通説を科学の視点から覆した船舶設計の専門家・播田安弘氏が、あらためて事故を分析する。 109年前の沈没以来、タイタニックの悲劇は多くの映画や小説に描かれています。なかでも今夜の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送されるジェームス・キャメロン監督作品『タイタニック』(1997年公開)は、興行収入の世界記録を更新し、第70回アカデミー賞では作品賞など歴代最多の11部門を受賞しました。この映画によってタイタニックは「世界一有名な船」となったのかもしれません。 しかし、その沈没の原因については、いまだに多く