データを無視する「愚行」 菅義偉政権が日本の生産性を引き上げるために「中小企業再編論」を掲げています。中小企業がデジタル投資をしやすい環境をつくると同時に、事業継続が難しい中小企業に対して業態転換を支援するという政策であれば、私も大いに賛同したいところです。 しかしながら、最低賃金の大幅な引き上げで中小企業の淘汰・廃業を進め、生産性を引き上げようとするのは、データや因果関係を無視した愚かな行為に見えてしまいます。データをまともに検証することなく、因果関係と相関関係を取り違えて思い込みで進めているのでしょう。 実際、中小企業庁の近年のデータが示すのは、廃業する企業の中で前年度の純利益が黒字だった企業の割合が高いということです。 その割合は、実に60%を超えています。ゾンビ企業より優良企業のほうが廃業している現実を踏まえると、廃業数が増えることで生産性は低下しているというわけです。