ソーシャルゲームを企画、開発、運営する株式会社Cygames。社長の渡邊はサッカーにどっぷりと浸かっている 【Getty Images】 勝ったときだけ――、とその男は慎ましげに笑みを浮かべた。 「ピッチレベルに下りていって、マッシモ・フィッカデンティ監督と握手をして帰ります。試合の中身やサッカーの話は、そのときに少し」 もしサッカー狂がスポンサーとしてクラブの中枢にアクセスする権利を得たとすれば、それを行使してサッカーの虫である研究熱心な監督と、いつまでも話していたいはず。しかしその男はスポンサーとして関わったがゆえに、己と現場とのあいだに、あえて一線を引く。 「どうして毎試合、私のところに来ないんだ?」とフィッカデンティ監督は疑問を呈するが、男は変わらず、勝ち点3を得た試合に限って「会心の勝利だったね」とひと声掛け、時に「あそこは改善したほうがいい」と少々サッカー談義を吹っかけ、スタジ