出版界にデジタル化の波が押し寄せている。電子端末が人気を呼び、今年は「電子書籍元年」とか。危機感を持った出版界は、行政も巻き込んで活字コンテンツの電子化に向けた真剣な議論を続けている。紙の本はなくなるのか。日本人の読書スタイルは変わるのか。【内藤陽】 「今後、電子書籍市場が日本の出版界にもたらす大きな影響は、決して無視できるものではない」。東京都内で3月に開かれた「日本電子書籍出版社協会(電書協)」の設立総会の記者会見。代表理事の野間省伸・講談社副社長はそう話した。電書協には講談社や新潮社など大手出版社31社が参加、来るべき「電子書籍時代」の対応に乗り出す。 総務、文部科学、経済産業の3省も同月、作家や出版社、通信事業者らを集め「出版物の利活用の推進に関する懇談会」を開催。「日本型出版ビジネスモデル」などを検討して、6月中に電子書籍データの規格のあり方などを取りまとめる。 官民が躍起になっ