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ブックマーク / dictionary.sanseido-publ.co.jp (238)

  • 第35回 試験と「○×△」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    新学期、晴れがましい新入生たちでキャンパスは一杯になる。初々しく見える彼らも、高校や予備校を終えるまでの間に、さんざん試験のたぐいを受け、その答案用紙には幾多もの「○」や「×」が付けられてきたはずだ。いや、これからも大学はもちろん、下手をすると社会に出てからも、それらの記号から逃れられない人たちも少なからずいるに違いない。 日人には、漢字について色々とあげつらう性質がいつの時代にも残っている。要人らの読み間違え、書き間違えに対する昨今の評も、同根であろう。国語のテストに限らず、さまざまな科目で、答案に記された漢字に対して、「○×」を付けるために細部にまで目を光らせることがあるそうだ。字形を確認し、正誤を判断するために、虫眼鏡まで持ち出されることもあると時折聞く。 この「○」「×」と、その中間の点であることを示す「△」という記号は、万国共通のものなのであろうか。このことについて、特に漢字圏

    第35回 試験と「○×△」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第33回 計算された(?)稚拙さ | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    前回述べたように、「片手直立左右振り」という身体的な否定技は基的に『大人』の技である。その上での話だが、ここで注意しなければならないのは、『娘』が時として、いっぱしに『大人』じみた行動をとるということである。 たとえば、「~ちゃん、きれいになったねえ」などと容貌をほめられ、照れながら急いで否定して謙遜してみせる場合には、「いえいえ」という下降調の発言と共に、『娘』の片手が体の前で左右に振られる。またたとえば、皆の前でまずいことをしゃべり始めた相手に「あっ、ダメダメ! それはここで言っちゃイヤ」と、遠くからこっそり合図する際にも、やはり『娘』の片手が左右に小刻みに振られる。片手直立左右振りが「基的に」『大人』の技だと留保を付けたのは、この意味である。 しかしながら、『娘』の技は『娘』の技である。しょせん、『大人』の技とは違っている。『大人』の片手直立左右振りは、前回取り上げたマンガにある

    第33回 計算された(?)稚拙さ | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 45 耳の文化と目の文化(14)-視覚的な特性(7) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    名詞の大文字書きは名詞が文の中で情報を担う重要な要素であり、それを拾い読みするだけで文やテクストの大体の意味を読み取ることができるから、読み手にとってはたいへん便利である。しかし書き手にとっては何が名詞であるかは必ずしもはっきりしているわけではない。angst/Angstは「不安な」/「不安」という意味の形容詞または名詞であるが、その使い分けの原則は統語的な基準によって、文の中で動詞sein,werdenのなどの補語となったときは形容詞として小文字で書き、動詞や前置詞などの目的語になったときは名詞として大文字で書く:Mir ist angst./Ich habe Angst.「私は不安だ」。 しかし、recht/Recht「正しい、適切な」/「正当性」の場合は、Das ist mir ganz recht.「私はそれが好都合です」は形容詞として小文字で書くが、Du hast recht/R

    45 耳の文化と目の文化(14)-視覚的な特性(7) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • その61 大根にもいろいろありますが…。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    【「大根」を説明すると?】 辞書について話をしていると、こんなふうに尋ねられることがあります。 「国語辞書は、いろんな分野のことばを載せるので、たいへんですね。きっと、それぞれの分野の専門家に原稿を頼んで、それをまとめているんでしょうね」 質問した人は、百科事典などの作り方を想像したのかもしれません。たしかに、百科事典的な性格をもつ分厚い辞書ならば、各分野の専門家に執筆を依頼します。でも、小型の辞書では、そういうことはあまりありません。少なくとも、『三省堂国語辞典』では、決まった人数の執筆陣が、あらゆる分野のことばの原稿を書いています。 予算がないから? そうではありません。国語辞書はことばを説明するものであり、ことばの専門家が執筆するのが適当だからです。百科事典とは目指す方向が違います。 【目指す方向が違う】 一例として、「大根」ということばを見てみましょう。『三国』の第六版では、次のよ

    その61 大根にもいろいろありますが…。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
  • 人名用漢字の新字旧字:「遡」と「遡」

    2009年 3月 26日 木曜日 筆者: 安岡 孝一 「遡」と「遡」 旧字の「遡」(2点しんにゅう)は、人名用漢字なので子供の名づけに使えます。でも、新字の「遡」(1点しんにゅう)は子供の名づけに使えません。旧字の「遡」は出生届に書いてOKですが、新字の「遡」はダメ。でもこれは、むしろ国語審議会と文化庁の方針だったのです。 常用漢字以外の漢字の字体に関して議論を進めていた国語審議会は、平成10年6月24日、文部大臣に表外漢字字体表試案を報告しました。表外漢字字体表では、旧字の「遡」が印刷標準字体として、新字の「遡」が簡易慣用字体として、それぞれ示されていました。この報告の意味するところは、印刷物には原則として旧字の「遡」を用いるのが望ましいが、必要に応じて新字の「遡」を用いてもかまわない、ということでした。 ところが、平成12年12月8日に国語審議会が答申した表外漢字字体表では、印刷標準字

  • 44 耳の文化と目の文化(13)-視覚的な特性(6) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    名詞の語頭を大文字で始める大文字書きも視覚的な区別であって、耳で聞いたのではこのような区別はわからない。近世までは強調したい語を大文字で書くことがあった。今日でも固有名詞は大文字で書く。また、新正書法では手紙におけるdu, ihrおよびその変化形は大文字書きにすることを義務づけていたが、その後の諮問委員会の勧告によって改訂新正書法ではどちらも認められることとなった。相手を指すSie「あなた・あなた方」を大文字書きするのは3人称複数のsie「彼ら、彼女ら、それら」と区別するためである。 名詞以外の代名詞、前置詞、副詞、接続詞、動詞などを名詞として使う場合は名詞であることがはっきりしているから大文字で書くのに迷うことはない。これらは中性名詞になる:das Ich「自己」、das Für und Wider「賛否」、das Aber「異議」、das Lesen「読書」。 形容詞を名詞化したものは

    44 耳の文化と目の文化(13)-視覚的な特性(6) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第34回 「餡」の正体 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    子供のころの寒い日に、凍える手に握った小銭と引き替えに、近所の菓子屋で買った肉まんは、当に美味しかった。 今では、カレーまん、ピザまんなど種類は増え、コンビニでも売られるようになっているが、大阪などの地では、肉まんのことを「豚まん」と称する。関西では「肉」といえばよくべる牛肉を指すことが多いため、「肉まん」で中に豚肉が入っていては抗議されかねない。そこで、「豚まん」という、関東ならばややどぎつくも感じられるが、おかしみのある表現を好む傾向のある関西弁にフィットするような表現として広まったようだ。そうした文化と言語習慣によって、たまたまそうなったということなのであろう。 肉まんよりもあんまん、チョコよりもアンコというように、アンコに目のない人がいる。アンコの「アン」は漢字で書けば「餡」であり、その字と語は、餃子の餡(アン)、餡(あん)かけ、と様々なべ物を指す。 その漢字の「餡」(カン

    第34回 「餡」の正体 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 人名用漢字の新字旧字:「万」と「萬」

    旧字の「萬」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。新字の「万」は常用漢字なので、やはり子供の名づけに使うことができます。つまり、「万」も「萬」も出生届に書いてOK。でも「萬」が人名用漢字になるまでには、かなり長い時間が必要だったのです。 昭和21年11月5日、国語審議会は当用漢字表を答申しました。この時点の当用漢字表は手書きのガリ版刷りでしたが、新字の「万」が収録されていて、直後にカッコ書きで旧字の「萬」が添えられていました。つまり、「万(萬)」となっていたわけです。ただし、この「萬」は、くさかんむりの真ん中が開いた字体になっていました。国語審議会が答申した当用漢字表では、くさかんむりは全て、真ん中が開いた4画の字体だったのです。 翌週11月16日に内閣告示された当用漢字表でも、やはり「万(萬)」となっていましたが、「萬」のくさかんむりの真ん中はつながっていました。印刷局が

  • 42 意味の変化 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム

    言語は時間とともに変化する。単語の意味も、変化を免れることはできない。 言語がなぜ変化するのか、完全に解明されているわけではないが、ファッションと同じように、常にインパクトのある表現が必要とされることは明らかである。新しい言い方にはインパクトがあり、たとえば「現代風で魅力がある」ことを示す言葉は「ハイカラ」「ナウい」「いけてる」「クール」など次から次へと生まれる。ということは、古い言葉は次から次へと意味が薄れ、インパクトを失って廃れていくのである。今では、「ナウい」などという言葉はまったくナウくない。 また貨幣価値はインフレとともに低下していくものだが、言語の意味も同じように時間とともに価値が低下していくものらしい。たとえば「貴様」という語は、一つ一つの漢字の意味から考えると、相手を高く持ち上げる尊敬表現のはずだが、現在では、話し相手に「貴様」と呼ばれて喜ぶ人はいないだろう。 ドイツ語も事

    42 意味の変化 | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 重藤 実) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第33回 「ぼーっ」とするから「ぼう然」? | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    漢字を読み書きする力について、いろいろなことが世上で話題になっているが、それとは無関係に、ある学生が問う。 「がぜん」って、どういう意味ですか? 彼は「すごく」というような意味でふだんよく使っているのだが、ある時、当の意味とは違っていると感じたのだという。「俄然」という漢字を知らない、あるいは知っていても「俄然」の「俄」の字に「にわか(に)」という意味や訓読みがあることまでは習得していない。そのために、使用される文脈と語の発音とが醸し出すイメージに基づいて生じた用法のようだ。「ガッと飛びつく」の「ガッと」というオノマトペのような副詞の働きをする語との関連も考えられる。 「…然」という副詞、連体詞のたぐいの語は、何かと話題になる(*1)。ここでは、話題にのぼりにくいものも扱いながら、少し見ていこう。 「きぜん」という語も、「キッ」とするという語のイメージと結びつきやすいようだ。学生たちに、

    第33回 「ぼーっ」とするから「ぼう然」? | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 人名用漢字の新字旧字:「餅」と「餠」

    新字の「」と旧字の「餠」の関係は複雑です。へんの部分を新字旧字のどちらにするか、つくりの部分を新字旧字のどちらにするかで、合計4種類の組み合わせが考えられます。つまり、へんもつくりも新字の「」、へんが旧字でつくりが新字(いわば旧新字)の「」、へんが新字でつくりが旧字(いわば新旧字)の「餠」、へんもつくりも旧字の「餠」、の4種類がありえるのです。 これら4種類のうち、子供の名づけに使えるのは、へんが旧字でつくりが新字(いわば旧新字)の「」だけ。他の3種類は子供の名づけに使えません。新字の「」でも旧字の「餠」でもなく、いわば旧新字の「」だけが、出生届に書いてOKなのです。どうしてそんなことになってしまったのでしょう。 平成12年12月8日、国語審議会は表外漢字字体表を答申しました。表外漢字字体表は、常用漢字(および当時の人名用漢字)以外の漢字に対して、印刷に用いる字体のよりどころを

  • 40 耳の文化と目の文化(11)-視覚的な特性(4) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    küssen [kʏsən]「キスをする」、wollen [vɔlən]「…するつもりである」、können [kœnən]「…できる」などにおける二重子音はもともとは子音1個の2倍の長さをもつことを表しており、子音と子音の間には音節の切れ目があった。従って、これらの語が1音節になったときは子音はひとつで表記されていた。しかし、近世になって二重子音は前の母音が短いことを表す記号になり、上記の例の発音記号を見ればわかるように子音の長さも1個分にしか発音されなくなったが、1音節の語になったときも子音を重ねてもとの語との同一であることを表示するようになった:Kuss「キス」, will(直説法現在1・3人称単数形)、 kann(直説法現在1・3人称単数形)。 従来、合成語において子音が3つ重なったときは発音どおりに子音2つで表記されていたが、新正書法では語の構成どおりに書くこととなった:Schi

    40 耳の文化と目の文化(11)-視覚的な特性(4) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第27回 常識言語学を超えて | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    「タートルネック」や「ハイネック」のことを「トックリ」と言う。「けっきょく」と言えばいいところで「要するに」と言う。どうかすると「畢竟(ひっきょう)」と言う。しまいには「生存還付給付金付きの終身医療保険が……」みたいなことまで口走る――こんなことはみな『子供』にはできない。流行遅れのことばづかい、古くさいことばづかい、小難しいことばづかいは『大人』の専売特許である。というのは、そもそも『大人』というものは、とかく流行遅れで古くさく、小難しいことを言いたがる(あるいは言わねばならない)ものだからである。 そういえば、「あなたも体に気をつけて」のような相手を気遣う儀礼的なことばづかいも、『大人』の技であった(第22回)。これもやはり、『大人』というものが相手を気遣うものだからである。これらは今さら言い立てるほどのこともない、常識に属する事柄だろう。 だが、『大人』の物言いは、こうした「そもそも

    第27回 常識言語学を超えて | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • その55 あーあ、ああん? あーんあん。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    『三省堂国語辞典』の主幹だった見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)は、「国語辞書の最後に来る項目」は何であるべきかについて、突きつめて考えていました。 辞書によって、最後の項目は「んとする」「んば」「んぼう」などいろいろですが、見坊が『三国』の最後に据えたのは「んんん」でした。〈ひどく ことばに つまったり、感心したときなどの声〉、つまり「うーん」と同様のことばです。また、主に女性が〈打ち消しの気持ちをあらわす〉声、つまり「ううん」と同様のことばでもあります。 ただのうめき声ではないか、と思う人もいるかもしれませんが、一定の語形、一定の意味を持っている以上は、「んんん」も立派な日語です。しかも、現代語としてふつうに使われます。この語を『三国』に採用した見坊の考え方には敬服します。 【ンーン……】 では、ここで、辞書の最初のほうを開いてみましょう。一番最初の項目は、もちろん「あ」です。どの辞書も

    その55 あーあ、ああん? あーんあん。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第32回 中国での「成績」、そして漢字圏全体の比較 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    前回記したように、韓国の「美」は他には見られない。なお、「美」という漢語は、中国韓国そしてベトナムではアメリカのことをも指す。日では「米」がアメリカを指す略語として頻用され、新聞で「こめ」をカタカナの「コメ」へと追いやった。日の「米」は、中国での古い訳が残ったもので、異彩を放っている。 上の表では、中国では「中」を含む方式を取り上げた。そこでは90点以上が「優」であるため、単純に見たならば、日韓はインフレ気味だ。点数ごとにそれらしい意味を有する漢字1字ないし漢語1語で評価が出ることが共通しているだけに、ズレがややこしい。また表のように、中国韓国とでは「良」の点差は平均で20点程度、最大では29点に及んでしまう。 そして何よりのこととして、前述のとおり、「可」は、ベトナムでは84点(さらに小学校ならば90点近く)でもそれが付けられるのだが、韓国ではそれが実に落第点となるのであったのだ

    第32回 中国での「成績」、そして漢字圏全体の比較 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 39 耳の文化と目の文化(10)-視覚的な特性(3) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    (前回から続く) 次に語幹の同一表記がある。これについては音素表記の原則について述べた第6回で音素表記の原則に反するものとしていくつか例を挙げたが改めて少し詳しく見てみよう。 動詞、名詞、形容詞などは文法的に語形変化したり、合成語や派生語を形成したときは発音が異なることがある。しかし、それを発音通りに書いたのでは目で見たときに語と語との関連がわかりづらくなるので、同じ語源の語は語幹の表記を同じくして読者の便宜を図ろうとする。例えば、aとauのウムラウトも発音通りに書けばe, euとなるはずであるが、これも語幹の同一表記の原則によってä, äuと書かれる:Nacht [naxt]「夜」(女性単数1・4格形)、Nächte [nɛçtə](複数形)、alt [alt]「年老いた」, älter [ɛltɐ](比較級), fahren [fa:rən]「乗り物で行く」、fährst [fɛ:ɐs

    39 耳の文化と目の文化(10)-視覚的な特性(3) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第26回 上昇調で驚くか、下降調で驚くか | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    それまで当たり前だと思っていたことが違っている。思わず「あれっ!」と叫ぶ。この「あれ」は、ふつう「あ」がより低く、「れ」がより高い。つまり「あ」から「れ」にかけて声の高さが上昇する。上昇調である。 もっとも、「あれ、そのようなことを。なりませぬ、なりませぬ」などというセリフでは、「あれ」は「あ」がより高く、「れ」がより低い。これは「あ」から「れ」にかけて声の高さが下降する、下降調である。 最初に挙げた上昇調の「あれっ!」は、多くの人に発せられる。その一方で「あれ、そのようなことを」の下降調の「あれ」は、『時代劇のお嬢様』のことばといった特殊なイメージがある。(「まろは~でおじゃる」としゃべる『平安貴族』キャラのようには時代が限定できないので、ここではあえて『時代劇の』としておく。) つまり、上昇調で発せられる驚きの「あれ」は、話し手のキャラクタが多様で特定しにくいのに対して、下降調で発せら

    第26回 上昇調で驚くか、下降調で驚くか | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第29回「真」と「眞」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    旧字の「眞」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。新字の「真」は常用漢字なので、やはり子供の名づけに使うことができます。つまり、「真」も「眞」も出生届に書いてOK。でも、旧字の「眞」には、かなりヤヤコシイ歴史があるのです。 昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表には、旧字の「眞」が収録されていました。昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表では、標準漢字表とほぼ同じ字体の「眞」が官報に掲載されました。そして、昭和23年1月1日に施行された戸籍法施行規則は、子供の名づけに使える漢字を当用漢字表1850字に制限しました。したがってこの時点では、旧字の「眞」は出生届に書いてOKだったのですが、新字の「真」はダメでした。昭和24年4月28日、当用漢字字体表が内閣告示され、新字の「真」が当用漢字になりました。これを受けて法務府民事局は、当用漢字表に加えて当用漢字

  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 『三省堂国語辞典』のすすめ その54 フツーにむずかしい新用法。

    【ふつうにおいしい】 「この服、ふつうにかわいいね」という表現は、「だれが見てもかわいい」という意味だと教えられたのは、2001年のことでした。変わった使い方が出てきたとは思いましたが、細かいニュアンスまではよく分かりませんでした。 後に、この「ふつうに」の意味について、授業で大学生たちに聞いてみました。すると、「だれが見ても」という意味でいいと言う人もいれば、「非常にではないが、わりと」の意味だと言う人、「標準程度に」だと言う人もいました。解釈がこれほど分かれるようでは、このことばは意味伝達の役に立つのかどうか、心配になります。 実際、「ふつうに」の新しい用法は、意味の取りにくい場合がよくあります。タレントの山口智充さんが、テレビ番組でクイズの答えを間違えた時、次のように言いました。 〈はずれた! ちょっと、ふつうにショックですね。〉(NHK教育「たっぷり見せます!学校放送のツボ」200

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    ardarim
    ardarim 2009/02/12
    微妙に違うニュアンスを含んでるような気がするんだけど、言葉で説明できないのがもどかしい。
  • 第25回 『小マダム』と『深窓令嬢』 | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    前回述べた『お嬢様』キャラは、「子供がちやほやされ甘やかされた結果、増長し、わがままに育った」というそれなりの歴史人生史を持っている。このキャラは『しもべ』を得てさらに成長すればやがて『マダム』キャラに進化するであろう。これを『お嬢様』キャラのタイプ1、わかりやすく『小マダム』としておく。 『お嬢様』キャラには『小マダム』とは別のタイプが存在する。このタイプ(タイプ2)は「子供が皆にかわいがられ、何不自由なく育った」という、『小マダム』とよく似た人生史を持っているが、その結果は『小マダム』とは異なっている。具体的には、おっとりして屈折がなくノーブル、誰に対しても敵愾心を持たない「育ちのいい」タイプ、「あーやっぱり、いいところのお嬢さんは違うよねぇ」などと、折に触れ私たちが感嘆し合うような『深窓令嬢』である。 『小マダム』と『深窓令嬢』は『お嬢様』キャラの2面に過ぎないと考えられるかもしれ

    第25回 『小マダム』と『深窓令嬢』 | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2009/02/09
    第24回 『お嬢様』考 の続き。お嬢様キャラの考察