暫定税率の廃止が地方自治体の一般財源に深刻な打撃を与える問題について、それをNHKがニュースで取り上げて放送しないのは何故だろうと考えている。中央の失政によって地方が痛みを受ける不幸については、NHKは民放局よりもずっとセンシティブで、民放が新自由主義的な思惑で隠蔽し操作する事柄や情報についても、地方の利害を代弁して報道する姿勢を示してきた。政府の影響を最も強く受ける立場にありながら、構造改革が国民に支持されてない事実を世論調査で最初に発表したのはNHKで、2007年の参院選前の時点から一貫している。テレビ朝日などとは構造改革に対する距離感と緊張感が全然違う。地方経済の疲弊の現実が記者たちの前にあったからだ。推測だが、やはり原口一博の権力を恐れているのだろう。放送行政を主管する総務相の顔色を気にしているのだ。民主党の「政治主導」は、報道の自由の面においては実に重大な脅威と陥穽を孕んでいる。