物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)は、新構造材料技術研究組合(ISMA、東京都千代田区)が2013年度から10年間にわたって研究開発を続けてきた「革新的新構造材料プロジェクト」が2023年3月に終わることを受けて、これまでの研究開発成果を受け継ぐためのNIMS鉄鋼信頼性拠点を築き始め、「例えば2GPa級の超々ハイテンション・スチール(通称:ハイテン=高張力鋼)を実用化するための研究開発・技術支援をする体制を固めつつある」と、津崎兼彰NIMSフェローは解説する。 「革新的新構造材料プロジェクト」の中で、日本製鉄やJFE、神戸製鋼所などの企業は1.5GPa級や2GPa級の超々ハイテン・スチールの研究開発を続けてきた(参考記事1)。こうした超々ハイテン・スチールを実用化するには、その超々ハイテン・スチールの使用時に疲労によって起こるき裂の進展などをきちんと調べる研究開発が当然、不可欠
2021年12月。物質・材料研究機構(NIMS)は、研究ではない領域で脚光を浴びた。PRアワードグランプリ。並み居る大手代理店を抑え、広報業界の権威ある最高賞を研究機関が受賞。本賞始まって以来の快挙だった。 NIMSは研究で成果をあげると同時に、材料研究を担う次世代の勧誘に並々ならぬ力を入れてきた。材料研究の兄貴分として、自身の宣伝も去ることながら日本の材料研究全体の底上げに取り組むと決めている。今では毎年春になると「その昔、NIMSのYouTubeに出会い材料研究を志し、ついにその道の大学に進むことになりました」といった知らせが相次ぐ。 活動の中心はYouTubeチャンネル「まてりある’s eye」に掲載する科学動画である。科学を解説する従来型の動画ではなく、知りたくなる気持ちを作ることを重視した独自の手法が特徴だ。チャンネル登録者数は18万人。動画1本当たりでは大人気の宇宙航空研究開発
MDR Schemaは、物質・材料研究機構(NIMS)が運営する材料データリポジトリ「Materials Data Repository (MDR)」が採用するメタデータスキーマです。MDRは、材料データプラットフォームDICEが提供するサービスの一つで、公的研究資金による研究成果を公開することで、新たな研究に繋げることを目的とするリポジトリサービスです。研究論文や、論文に付随する研究データ、および研究に資するプログラムなど、公知となった成果にDOIを付与して公開しており、データの引用やダウンロードが可能です。 MDRの詳細については、DICEのWebサイトをご覧ください。 MDR Schemaは、MDRでのデータ登録や検索の利便性の観点から、論文や研究データを登録する際に必要とする最低限のメタデータ項目を定義しています。本スキーマは、材料科学の幅広い分野からフィードバックを得ることを目的
去年、優れた広報・PR活動を表彰するコンテスト「PRアワードグランプリ2021」の最高賞に、名だたる広告代理店を差し置いて、茨城県つくば市にある「物質・材料研究機構(NIMS)」という国の研究機関の取り組みが選ばれました。「いやいや。物質材料なんとか機構って何…?」そう思った方も多いのではないでしょうか。 地味なイメージを持たれがちな物質や材料の研究機関の広報が、なぜトップに輝いたのか。そこには、物質材料分野における将来への危機感と、「科学のワクワクを知ってほしい」という担当者の熱い思いがありました。 (NHKつくば支局記者・平山佳奈) 【“科学の魅力”を若者へ 広報で最高賞受賞】 昨年末行われた、優れた広報・PR活動を表彰する日本パブリックリレーションズ協会主催の「PRアワードグランプリ2021」の表彰式。このグランプリで、国の機関としては初めて、茨城県つくば市にある「物質・材料研究機構
1.日時 令和2年5月15日(金曜日)13時00分~15時00分 2.場所 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催 3.議題 新型コロナウイルス感染症の発生・拡大を踏まえたマテリアル革新力強化の在り方について データを基軸としたプラットフォームを活用した研究開発の進め方について 戦略準備会合とりまとめ(案)について その他 4.配付資料 資料1_新型コロナウイルスの発生・拡大を踏まえたマテリアル革新力強化の在り方について(事務局説明資料) (PDF:443KB) 資料2_データを基軸としたプラットフォームを活用した研究開発の進め方について(事務局説明資料) (PDF:649KB) 資料3-1_マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて(戦略準備会合取りまとめ)(案) (PDF:707KB) 資料3-2_マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて(戦略準備会
ことしのノーベル化学賞に選ばれた吉野彰さん。 リチウムイオン電池の開発に大きな貢献をしたことがその受賞理由だ。 1970年代から80年代にかけて、世界中が小型でパワフルな充電池の開発競争を繰り広げていた。充電池開発の鍵は「材料開発」、電池に使える新たな材料を見つけ出すことだった。 今回、吉野さんと共同受賞するスタンリー・ウィッティンガムさんは「リチウム」という物質が充電池の材料として非常にすぐれていることを見つけ出した。また、ジョン・グッドイナフさんはリチウムを「コバルト酸リチウム」という化合物にすることで電池としての安定性が飛躍的に高まることを発見した。そして、吉野さんは、もうひとつの電極に炭素を使うことで、現在のリチウムイオン電池の原型を完成させた。 まさに、天才たちが鋭い洞察とたゆまぬ努力で切り開いてきたのが、材料開発の分野だ。 日本は材料開発の分野では、数々のノーベル賞受賞者を輩出
東京工業大学の細野秀雄栄誉教授(元素戦略研究センター長)は、鉄系高温超伝導物質の発見や液晶ディスプレー、有機ELテレビに使用されている“IGZO”に代表される透明酸化物半導体を創り出し、100年に一度の製法発見と言われる電子化物(エレクトライド)を用いた低温・低圧でのアンモニア合成方法の開発など、次々と偉業を成し遂げてきた。 (本誌編集長 山口泰博) セメントにおける高い電気伝導の金属状態も細野栄誉教授が発見したものだが、「超伝導物質」の論文は、2008年に科学雑誌サイエンスでブレイクスルー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、論文引用数でも世界一を記録。2013年にはトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞し、ノーベル物理学賞受賞候補として有力視されてきた。 一般的に、どんなにすばらしい発明も、知財などで係争中の場合は、ノーベル賞受賞はないと言われる。 細野教授(当時)らが発明した「IGZO-TFT(I
1.目標名 実験とデータ科学等の融合による革新的材料開発手法の構築 2.概要 材料の研究開発はインフォマティクス技術の進歩により革新時期を迎えており、マテリアルズ・インフォマティクスによる新規物質の探索では高速化の面でいくつもの成果が得られている。一方、物質合成や材料組織制御等の材料プロセスにおいては、実在物質の挙動を表現する理論やモデリングツール等が不足し、革新の妨げとなっている。最適な材料プロセスの効率的な探索や、材料を創製するための新プロセスの構築等に対して研究の進展が求められており、産業界においても同様の課題意識がある。 本戦略目標においては、物質探索から材料創製までの開発期間を、実験と計算科学・データ科学等(以下、データ科学等)との融合により桁違いに短縮し、多様な材料の創出に資する研究を推進し、産業競争力の向上に貢献する。さらに、実験とデータ科学等の双方を理解する人材の育成にも貢
無機化合物の多様性と材料探索¶ 材料科学で取り扱う元素の種類は80程度であるが,その組み合わせは2元系で約3千,3元系になると約8万となる.しかし可能な化合物の数は,組成比を考慮すると大きく増える.化合物AxByCzでx, y, zを整数として,x + y + z = 10と限定しても,その組み合わせは100とおりであり,3元系全体では800万とおりになる.同じ組成であっても結晶多系と呼ばれる様々な構造を持つ場合が多いので,その数はさらに増える.一方で,世界最大の無機結晶構造データベース(Inorganic Crystal Structure Database: ICSD)に収録されている3元系までの無機化合物データは現在76000件であり,同一の化合物で複数のデータが収録されている重複を除けば,実験的に結晶構造が既知の無機化合物の数は5万件を下回る.このうち生成エネルギーなどの熱力学デー
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