妻の尻を追っていたらいつの間にか百貨店の化粧品販売コーナーにいた。慣れた様子でお目当てのカウンターを見つけて座る妻。財布役を仰せつかった僕も横に座らせていただいたところまでは良かったが「ご主人様もぉぉお~ご一緒なんてぇぇえ素敵でぇすぬぅぇええ!」と何かの薬品をキメたかのような口調で話す女性スタッフに気圧され、妻を残して逃亡してしまう。 ふらふらフロアを偵察すると、各化粧品メーカー・ブランドのコーナーコーナーがそれぞれ要塞のような完全な戦闘モード。揃いの制服。ひっつめたような髪型。決まりまくったメイク。きびきびした動き。僕にはほとんど軍隊のように見えた。美を追い求めるとは軍隊のように厳しいものなのだろうか。 価格をリサーチすると僕の1ヶ月分の昼食代が軽く飛ぶような商品ばかり。「配偶者が綺麗だとキミも嬉しいはずです」と言って、あたかも僕のためという大義名分で買い揃えられた化粧品の瓶群はいくらす