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ブックマーク / benli.cocolog-nifty.com (8)

  • benli: 私的使用目的の複製が自由に行える理由

    映像ソフト協会の酒井さんから、「そもそもどうして他人の著作物を自由に複製できるのか、の説明をお願いできないでしょうか。」とのご質問を頂きました。 まず確認しておかなければならないのは、我が国は自由を原則とする国だということです。 ですから、他人の著作物を複製することがこれによって実現される個人の幸福追求権に優越する利益・価値を不当に損なうおそれがある場合に、そのような事態を回避するのに必要やむを得ない範囲内でのみ、他人の著作物を複製することを法令で禁止できるということがむしろ言えます。 で、他人の著作物をその創作者の許諾なくして複製することを禁止する理由としては、これを自由にさせておくと、複製物の市場価格は、複製物自体の製作・流通コストぎりぎりのところで均衡してしまい、著作物自体の創作コストを複製物の価格に上乗せして投下資の回収を行うことができなくなってしまい、結果、コストをかけて著

  • benli: エイベックスの特別顧問は、違法配信のネタもとがレンタルだと問題視?

    岸博幸さんって、現在エイベックス・グループ・ホールディングスの特別顧問で、6月24日の定時総会で同社の非常勤取締役に就任予定の方だったのですね。それなら、少なくともエイベックスの特別顧問に就任していることくらいは略歴欄に書いておけばいいのに(特にこの話題だったら)とは思いました。ポジションによって党派性が生ずるのは仕方がないですが、それはそれで明示した方が、読者には親切です。 それはともかく、問題の質が「デジタルコピーして、ネット上で違法配信するのが日常茶飯事になった今、いかにアーティストが収入を確保して創作意欲を保ち続けられるようにするか」ということならば、「様々な個別論のなかでは、例えば私的録音録画補償金制度よりもレンタル市場の存続の可否という問題の方がよほど重要である」という認識は改めた方がいいのではないかと思うのです。デジタルコピーの大元が「レンタル店から安価で借りて」きたCD等

  • benli: 著作権意識が強いからこその貸しレコード業

    mohnoさんは、そのブログの中で 日にしかないレンタルレコード(CD)は、著作権意識が弱いからこそ認められたようなものではないのだろうか。とおっしゃっています。しかし、それは違います。 レコードレンタル業が開始された当時は、正規に生産された商業用レコード等を業として貸与することは日法では禁止されていませんでしたし、これを禁止することを義務づける国際条約はなく、これを法的に禁止している国も殆どありませんでした。実際、知的財産権の正規の実施品の業としての貸与を禁止する権限を知的財産権者に付与する例は、特許等の他の知的財産権にもありませんので、これが普通の姿であるといえます。 その後著作権関連団体のロビー活動が功を奏し一旦は貸しレコード業を抑制する方向に向かいかけましたが、貸しレコード業者が消費者を巻き込む形でロビー活動を行った結果、商業用レコードを業として貸与する権限を著作権者や著作隣接

  • benli: 合併と著作者人格権

    先日出席した某研究会での議論によれば、企業合併にあたって、合併前に成立した法人著作物(吸収合併の場合、消滅会社の法人著作物)について、「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為」(著作権法60条)の差止めを求める権利を、合併後の会社は有しないということになるらしいです(同116条の反対解釈)。確かに、現行著作権法の解釈としては、それが一番素直です。 もちろん、「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為」を犯した場合の刑事罰(同120条)は親告罪ではない(同123条1項参照)ので、そのような行為を行っているものについて合併後の会社が刑事告発をして処罰してもらうことはできるわけですが、民事的に何とかしようということはできないということです。 パラメータデータの改変ツール等を著作者人格権(同一性保持権)で押さえつけてきたゲーム会社にとって、企業

  • benli: 著作権の保護期間延長問題は人格権とは関係ない

    著作権の保護期間の延長問題で、しばしば誤解されている点が1つあります。著作権の保護期間が経過すると著作者人格権まで消滅すると思われている節がどうもあります。 例えば、ITmediaに掲載されていた三田さんの発言ですが、 著作者の意志を尊重し、著作物の同一性を守るために延長が必要という意見もある。「孫子のために財産を残したい、という訳ではない。これは著作物の人格権を守るための議論だ。例えば谷崎潤一郎の保護期間がもうすぐ切れる。切れてしまえば、谷崎の作品を書き換えてネットで発表するようなファンが出てくるだろう。もっとエロくしようとか、もっと暴力的にしようとか。文学はWikipediaではない。書き換えられては困る」(三田さん)法律的にいえば、著作物の同一性を守るためということであれば、著作権の保護期間の延長というのは全くの意味がありません。 まず、著作者人格権は、他の人格権と同様に、一身専属権

  • benli: 「森進一にだけ唄わせるな」というのは無理

    歌手、森進一(59)が代表作「おふくろさん」のイントロ前に無断でせりふを足していた問題で、作詞家の川内康範氏(87)が4日までに、楽曲の著作権を管理するJASRAC(日音楽著作権協会)に、森が川内氏の作品を歌唱できなくするよう訴えていたことが分かった。とのニュースが報じられています。 しかし、今日JASRACは、演奏権に関していえば、奏者との間で個別の演奏ごとに許諾契約を締結するという方式ではなく、放送局や会場経営者との間で包括的利用許諾契約を締結するという方式を多用している以上、既に包括的利用許諾を締結済みのコンサートホール等に対して「森進一に『おふくろさん』を歌唱させるな」という要求は法的にはできそうにありません。 今後のことにしても、JASRACが「場」に対する「包括的利用許諾」という枠組みを放棄しない限り、「森進一」という個人に限定して「おふくろさん」という特定の管理著作物の歌唱

  • benli: おふくろさん騒動

    JASRACに信託譲渡された音楽著作物についていえば、特定の歌手がこれを歌唱することを拒む権利は作詞家にも作曲家にもありません。作詞家がその歌手に対してどんなに憤っていてもです。著作権等の集中管理というのはそういうものです。気に入らない歌手に歌唱されたというだけでは、「名誉又は声望を害する」とまではさすがに言えませんから、著作者人格権の問題も発生しません。 ですから、少なくとも「語り」の部分を加えずに「おふくろさん」を森進一が唄う分には、川内康範さんはこれを止めさせることは法的にはできません(力関係を利用して森進一をパージすることはできるかも知れませんが、それはそれで法的に問題が発生しそうです。)。 なお、「歌唱パート」の前に語りを加えることが一般的に歌詞の同一性保持権を侵害するかのような説明がなされていることもあるようですが、それはいかがなものかなあと思います。

  • benli: パクリ問題と興奮した第三者について

    AというアーティストのBという作品が、CというアーティストのDという作品の「パクリ」ではないかということで騒ぎになることがネット上では増えたような気がします。 ポピュラーミュージックの世界だと、むしろ、聞き手が「元ネタ」に気付いてにやっとするみたいな反応をすることが多かったので、昨今のネットで横行している「パクリに潔癖すぎる受け手」には正直違和感を感じざるを得ません。Dという作品の全部又は一部がBという作品に組み入れられているということについて、どのような権利処理が行われあるいは行われていないかなどということは、Aの側とBの側との間の問題であって、「受け手」ないし全くの第三者にとっては来どうでもよい話です。 CはAによるBという作品を知らないと言うことはあるかもしれませんから、Dの全部又は一部と同一又は類似する要素がBのなかにあることに気が付いた人が、その旨をCまたはCの所属プロダクショ

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