「どうしても、深く掘り下げられなかった」。20代の終わりから約10年、アルコール中毒だったこと。そして、いかにそこから抜け出したか。20年間書けなかったことを、ついに「告白」した。 元々酒はそんなに飲まなかったが、仕事が軌道にのり、時間もお金もできた頃には「朝からちびちび(ほんとは、たくさん)」飲むように。気付けば月に数度は「連続飲酒発作」を起こし、点滴を打っては飲む生活を繰り返した。擦り傷から大流血の事態までケガも絶えなかったが、「自分はアル中じゃない。原稿はちゃんと書けてる、なんて思ってた」。 体調を崩して飲まない日が続いた時、一睡もできずに幻聴や「ティッシュケースから、手がにょきっと」でる幻覚に襲われた。たまらず心療内科へ駆け込むと「アル中」との診断。それ以来「断酒中のアルコール依存者」という状態が20年続いている。 体験を本にしないかと編集者に持ちかけられたのは、10年前のこと。「