経済成長論のテキストの中でも、Aghion, P. and R. Howitt, The Economics of Growth, the MIT Press, 2009. (以下、『成長の経済学』と呼ぶことにする)は、読者を経済成長論のフロンティアに誘うことを目的として書かれた学部上級・大学院生向けの教科書であり、最新の優れた1冊だといえる。『成長の経済学』のもう1つの特徴として特筆すべきなのは、政府や国際機関において成長政策や開発政策の立案に関わっているエコノミストも読者の対象として想定しているところであり、「成長政策」についても正面から取り上げている。こうした特徴は類書にはみられないものである。 それゆえ、成長政策や成長戦略を議論する際に、それらにかかわる経済学の標準的な見解がどのようなものであるかを知るためには、この『成長の経済学』を参照することが求められる。 『成長の経済学』は、