■新訳男女 語り合おう■ 医学生が“先生役”を務める性教育が全国で試みられている。親や教師には話しにくい「性」の問題を、価値観の近い同世代が伝えることで、真剣に受け止めてもらうのが狙いだ。医療を学ぶ立場を生かして性感染症の予防を呼び掛ける一方、同性愛や性同一性障害など「多様な性」の在り方も取り上げ、命と向き合っていく医学生自身が学ぶ場にもなっている。 (新西ましほ) 「3人と自己紹介しながら、カップの中身を混ぜて交換してください」 九州大学医学部の一室。約50人の学生たちが色とりどりの紙切れの入ったカップの中身を交換し始めた。作業を終えると、司会の学生が声を掛ける。「赤い紙が入っていた人は手を挙げて」。当初三つのカップにしか入っていなかった赤い紙は、半数以上の学生に広がっていた。 実はこれ、性感染症がどのように広がるかを学ぶゲーム。赤い紙は性感染症を引き起こすウイルス、中身の交換はセックス