新型コロナウイルス対策の根拠法となっている改正特別措置法など3法が、3日の参院本会議で可決、成立した。自民党と立憲民主党による与野党協議の結果、懲役刑を含む刑事罰が全削除されるなど、メディアが「野党案丸のみ」と呼ぶ大きな法案修正が実現したことに、筆者はある種の感慨を抱いた。 「丸のみ」で思い出したのは、20年以上前の1998年に成立した金融再生法だ。古い話になるが、この法律の制定過程を振り返りつつ、野党の現在地を考えてみたい。(ジャーナリスト=尾中香尚里) ▽ねじれ国会で成立した金融再生法 今から23年前、1998年秋の臨時国会は「金融国会」と呼ばれた。当時はバブル崩壊に伴って多くの金融機関が不良債権を抱え、前年から名だたる金融機関が次々と破綻に追い込まれていた。金融危機にどう対処するかが、政治の大きな課題だった。 当時は自民党の小渕政権。同年夏の参院選で自民党が惨敗し、参院は菅直人代表(