日本には良いジャーナリズムが無いと嘆いていた最近の私ですが、書籍に目を向ければ、この数ヶ月の間に素晴らしいルポルタージュが沢山出版されていました。 「父・金正日と私 金正男独占告白」は、あの北朝鮮の金正男とインタビューすることに成功した日本人ジャーナリストによる著書です。空港で偶然出会って名刺を渡したことから始まるやりとりは、最初は警戒されつつも、徐々に本音を引き出すことに成功します。 150通のメールと、7時間のインタビューからなる本書では、金正男が良識有る常識的な人物であることを描き出すとともに、北朝鮮はもはや指導者層やその近くに居る人間であっても制御不能になってしまっていることを伺わせます。北朝鮮が改革・開放に舵を切る日はいつ訪れるのでしょうか? 韓国語が堪能な著者が、単身切り込んで世界的なスクープを獲得した迫力が本著の最大の魅力でしょう。「いま出版されると立場がまずい」という金正男