「中国共産党の重要会議は、(中国の)外の世界が取り沙汰する経済、企業、マネーの視点から、期待を込めて分析していると、大きな間違いを犯す」。これは今から11年前、共産党の重要会議が開かれて間もなく、実態をうかがい知ることができる内部関係者が漏らした慨嘆である。重要会議とは、習近平(シー・ジンピン、71)が国家主席に就いて初めてとなる2013年11月の中央委員会の全体会議。第1期習政権の経済政策の
内容の正誤や道義的な妥当性はさておき、いかにも中国の在外公館が言いそうなことである。中国外交部は近年、西側各国に対して攻撃的・挑発的な言葉をぶつける「戦狼外交」の姿勢が常態化(この記事も参照)。駐大阪総領事館もその例外ではないというわけだ。 しかし、今回のツイートには大きな問題があった。カッコをつけて凄んでみせたつもりが、陵辱モノ18禁ゲームの竿役みたいなセリフのせいで、とんだマヌケ文章になってしまったからである。 結果、日本のネット上ではプチ祭りが発生。「日本人を笑わせて中国への親しみを抱かせるための高等なプロパガンダ戦術では?」と、うがった見方も飛び出したものの、当該のツイートは後日になり削除された。どうやら、純然たる言葉選びのミスだったらしい。(全2回の1回目/後編に続く) (なお、新疆の少数民族を対象にした強制収容や強制労働・不妊手術などの実態については、ドイツの人類学者エイドリア
習近平政権が「共同富裕(皆が共に豊かになる)」に舵を切った。そして、「共同富裕」の実現に向けて国民の自由を制限し、中国共産党による統制を強化する動きが目立ってきている。アリババ集団など巨大ネット企業などに対する独占禁止法違反を理由とした罰金の徴収、芸能人に対する税務調査強化や罰金の徴収、富裕層の財産に対する課税強化や富豪による第三次分配(高額寄付)の奨励など金持ち崇拝(拝金主義)を戒めるような動きがでてきたのに加えて、高価なことで庶民の生活を苦しめてきた“新三座大山1(教育、不動産、医療)”の退治に乗り出したりしている。さらには、習近平思想を小中高校で必修化したり、オンラインゲームでは未成年者の利用時間を制限したり、ライブ配信では芸能人などを応援する“投げ銭(おひねり)”を未成年者には禁止したりと、若年層への教育的指導も目立ってきている[図表-1]。 大成功を収めた企業家を戒めるような動き
東ウクライナに兵力を集中させるプーチンだが、ノヴォロシアを取ってもどうするのかという問題がある(4月27日撮影) Sputnik/Alexei Danichev/Kremlin via REUTERS <ウクライナ戦争はこれからどうなるか。NATOはどう対抗し、台湾情勢にはどんな影響があるか。『日本がウクライナになる日』著者・河東氏とロシアの軍事と安全保障戦略を専門とする小泉氏が議論を交わした> 戦況はどうなるのか。日本の安全保障は? 外交官としてソ連・ロシアに12年間駐在した経験があり、『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)を緊急出版した外交評論家の河東哲夫氏と、ロシアの軍事と安全保障戦略を専門とする東京大学専任講師の小泉悠氏による対談。 前編の記事(【河東哲夫×小泉悠】いま注目は「春の徴兵」、ロシア「失敗」の戦略的・世界観的要因を読み解く)では、ロシアが弱かった理由の分析
北京五輪に合わせて会談したプーチン(2月4日、北京) Sputnik/Aleksey Druzhinin/Kremlin via REUTERS ・「ウクライナ危機が台湾海峡に飛び火する」という説はよく聞くが、これには大きな矛盾がある。 ・「現地の要請」に基づいて軍事侵攻するロシアの手法は中国の論理と一致しない。 ・東西冷戦の教訓に照らせば、中ロの共通性にばかり着目するのは建設的ではない。 ロシアの侵攻が始まる前から「ウクライナ問題が台湾海峡に飛び火しかねない」という説はあちこちで聞いたが、中国とロシアをとにかくセットで扱う思考は状況認識をかえって誤らせかねない。 中国にとってのウクライナ危機 ロシア軍がウクライナ侵攻を開始した2月24日、中国の王毅外相はロシアのラブロフ外相との電話会談で「やむを得ず必要な措置をとった」というロシアの言い分に「安全保障上の懸念を理解する」と応じた。これが「
台湾では歴史の起点をどこに置くかすら政治と深く関わっている(日本統治時代に建設された台北の台湾総統府) YAOPHOTOGRAPH/ISTOCK <米中対立の狭間で「最も危険な場所」とされる台湾。大国に翻弄され生き残った歴史は今の複雑な地域情勢につながっている> 「台湾史」はいつから始まったのか。この問題を語ろうとするだけで、台湾では猛烈な論争が起きる。 日本史の始まりは、天照大神(あまてらすおおみかみ)だろうが、邪馬台国だろうが、一本しかない歴史の起点がどこにあるか、という問題にすぎない。ところが台湾の場合、事情が違ってくる。台湾史をめぐり、時間軸も地理も全く異なる複数の歴史観が存在するからだ。 1つは、台湾が世界の舞台に登場した400年前。もう1つが、夏や商などの文明が黄河流域に花開いた4000年前。 「台湾は中国の一部ではない」と考える人々は、前者の歴史観を唱える。台湾の与党・民主進
尖閣、香港、少数民族…もはや、やりたい放題の中国共産党政権に国際社会も打つ手ナシ。ルール無視、傍若無人なやり口のルーツはどこにあるのか? 身をもって中国共産党の恐怖政治を味わった評論家の石平さんが、“誰も書かなかった”真相を告発する。 (文・南勇樹 写真・鴨志田拓海) ◇ --まさに中国共産党の「暗黒史」。どうしてもこれを書きたかったとか 「準備に1年以上かけて資料を読み直し、渾身の力をふり絞って書きました。中国ではいま、結党百年や革命史観を賛美する行事やキャンペーンであふれていますが、実際の姿はまったく逆。(19世紀の)アヘン戦争以来、外国列強に侵略され続けた中国を共産革命によって救い、現在の繁栄を築いた…中国共産党が宣伝してきた史観なんて、大ウソ、デタラメもいいところですよ」
中国を代表する女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)も「新・文化大革命」のいけにえに? Alessandro Bianchi-REUTERS <中国でよくない変化の胎動が始まっている。芸能人摘発に続いて企業・金持ち叩き、さらに経済政策批判禁止に英語の制限......。すべての出来事が指し示しているのが、半世紀前の悪夢「文化大革命」の再来だ> 芸能界粛清から始まった習版の文化大革命 日本でも一部報じられていることだが、今年8月に入ってから中国で著名芸能人に対する異様な「粛清」が相次いで行われた。 まずは8月中旬、人気俳優の張哲瀚が数年前に靖国神社で写真を撮ったという過去の「罪状」を暴露され、人民日報などの国営メディアから厳しく批判された。その結果、数多くのブランドとの契約がその日のうちにすべて打ち切られ、撮影中の作品からも降板を余儀なくされた。張哲瀚はこれで事実上の芸能界追放となった。 そして8月
やはり触らない方がよかったと言うしかない。本ブログがDIDIについてようやく調べ終わったところで、更に教育機関やデリバリー業界への圧政第二弾、第三弾が続いている。本ブログは当局の圧政の流れを5月から取り上げ続けたのに、やってきたバーゲンセールで目が眩んでしまったのは失敗であった。何ならバーゲンセール後の下落幅の方が大きい。 7/24に中国国務院は学校教科の個別学習指導を提供している全ての機関が非営利団体として登録され、新たな営利団体としての設立を禁止するなどの新規則(关于进一步减轻义务教育阶段学生作业负担和校外培训负担的意见)を地方政府に通知した。教育機関はストーリーも描きやすく海外投資家にも注目されていたセクターの一つであったが、「意見」一枚で痛みを感じる暇もなく即死した。中国が人口減に転じたのではないかという観測が4月にあって衝撃が走ったのは記憶に新しい。翌月には子供3人目まで容認する
蘭州拉麺や新疆料理の店には「清真」の二文字が掲げられている。「清真」とは華語(中国語)で、イスラム的価値観に沿って調理・製造されたものに冠せられ、「ハラール」に相当する意味を持つ。「清真」であるからには、豚肉やアルコール・血を原材料として使用せず、清潔に努めることが求められ、店頭や製品パッケージには「Halal」というアラビア文字が添えられる。 そんなイスラム教徒のレストランや食料品店・メーカーは、長年来中国の食文化に大きく貢献し、親しまれている。他にも例えば、中国で最も有名な乳製品メーカー「伊利」は、内モンゴル自治区フフホト市に住むイスラム教徒によって設立され、「伊利」とは「伊斯蘭(イスラム)」の「利益」にちなむ。 しかし、このような「清真」の食文化と、新疆におけるウイグル族などトルコ系イスラム教徒への弾圧が、間接的に結びついているかも知れないと記せば、読者の皆さんは驚くかも知れない。
アントグループの上場停止事件 中国で重大な地殻変動が起きつつあるのかもしれない。共産党内部の権力抗争ではない。共産党と新しい民間新興勢力との衝突である。これは、長期的には中国の成長の阻害要因となり、米中バランスに本質的な影響を与える可能性がある。 共産党と新しい民間新興勢力との確執がはっきりした形で表れたのが、アリババ集団傘下の金融会社アントグループの上場停止事件だった。 アントは、電子マネーAliPayの発行主体。中国最大のeコマースであるアリババの子会社だ。2014年に設立されたばかりだが、急成長。その企業価値は、約1500億ドル(約16兆円)にもなるといわれた。 これは、アメリカシティグループ(約11.5兆円)の時価総額を超え、三菱UFJフィナンシャル・グループなど日本の3大メガ銀行の時価総額の合計(13.3兆円)を上回るものだ。設立されてからわずか6年のうちに、世界最大の金融企業に
「国家が全てを見張っている」は本当か(上海のAI関連イベント) QILAI SHEN-BLOOMBERG/GETTY IMAGES <新型コロナウイルスを抑え込んだ中国。勝因は「監視国家だから」とよく言われるが、それは本当なのか。データ共産主義の知られざる実態から、中国コロナ対策の肝である「健康コード」と日本のCOCOAとの違いまで(前編)> 「想像できますか? 日本のコロナ感染統計は全部手作業って」 これは中国紙・新京報の今年2月19日付記事のタイトルだ。 日本では委託を受けた事業者が各都道府県のウェブサイトを目で見て、新型コロナウイルスの新規感染者数、死亡者数を集計していると政府が認めた。あまりのアナログっぷりは海を越えて、遠く中国でも話題となった。 統計問題だけではない。コロナ対策全般で日中の実績は好対照を描く。3月31日時点での累計感染者数は日本が約47万人に対し中国は約9万人。し
中国当局はテンセント・ホールディングス(騰訊)にも照準を合わせているようだ。12日には独占禁止法を管轄する国家市場監督管理総局が過去の投資案件を巡り、同社に罰金を科すと発表した。 これは始まりにすぎない。中国金融規制当局の考えに詳しい複数の関係者によると、当局はテンセントをアント・グループの次に監督を強化する標的としてみている。アントと同様、テンセントも恐らく銀行や保険、決済サービスを含める金融持ち株会社の設立を義務付けられるだろうと関係者の1人は指摘した。非公開の協議だとして匿名を条件に話した。 関係者によれば、アントとテンセントは規制強化の順守で他のフィンテック事業の前例になる見通しだ。 アント、金融持ち株会社に転換する再編計画で中国当局と合意-関係者 テンセントは電子メールで配布した資料で、「今後も業界にとって有益と考える規制環境の変化に適応していくとともに、確実に全面順守するよう取
江蘇省鎮江市の農村部で、高齢者にネットショッピングのやり方を教える大学生ボランティアたち(2019年11月5日撮影、資料写真)。(c)CNS/石玉成 【9月19日 CNS】中国で60歳以上の高齢者のうち8割近い2億人が、2019年の1年間に一度もインターネットを利用したことがない-。最近発表された「中国のインターネット発展に関する統計リポート」で、この調査結果が社会の注目を集めた。多くの人の暮らしを便利にさせているデジタル化の波は、高齢者にとっては生活と移動に不便をもたらす荒波となっている。 モバイル決済、配車サービス、オンラインチケット購入、インターネット診療予約…。生活インフラのIT化が進んだ結果、一部の駅では窓口での乗車券販売を中止し、路上でタクシーを拾うことが困難となったため、「IT弱者」にとっては外出もおぼつかなくなった。病院の待合室で半日待ったあげく、「予約患者で今日の診療は終
米中対立激化でブロック経済化の懸念 ポストコロナの時代に想定されるグローバルな構造変化として、日本にも多大な影響があるのが、米中対立の激化だ。 中国の「マスク外交」に対する国際社会の評判はすこぶる悪い。世界中の国が、医療支援などをテコに「一帯一路」政策などを推進し、自国の影響力を拡大しようという中国の外交スタンスに辟易している。 米中両国は新型コロナウイルスの発生源や初期対応、WHO問題などをめぐって、非難合戦を繰り広げているが、こうした問題は米中間の貿易摩擦にも飛び火しつつある。 2020年に入り、中国は米国からの輸入を2年間で2000億ドル(約22兆円)増やすことを約束したが、新型コロナショックの影響で、達成は難しいとの見方が強まっている。他方で、中国からの輸入頼みの状況に危機感を感じたトランプ政権は、国内への生産回帰を促進することを検討しており、中国に対してさらなる関税の引き上げをち
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く