人は物語の収支決算が合うようにしたいもの 『生ける屍の結末』という本の構成 前回紹介した「黒子のバスケ」連続脅迫事件の犯人・渡邊博史(ひろふみ)は、自分で自分の事件の成り行きを冒頭陳述でいったん説明しました。その内容は、まるで、世間の人々が興味本位で、 「きっとこういう動機であったに違いない」 「こんな事件を起こす奴はこういうやつに違いない」 とネットであれこれ取り沙汰するような事情説明と、まったく同じようなものでした。 それが、数か月後の最終陳述においては、説明が大きく変わってしまっています。かつての自分がした説明を否定すると同時に、ウェブ上に存在するさまざまな人たちの勝手な推測をも否定してしまっています。 渡渡邊博史被告の著書『生ける屍の結末』という本の第1章は、犯行の手順を時間順に説明し、最後に自分が逮捕されるところで終わっています。 そして第2章では、冒頭陳述と最終陳述、そしてイン