記者席からスタンド全体を見渡して、いささか呆気にとられた。バックスタンドの「SAITAMA」の文字がくっきり見える。ゴール裏はぎっちり人が入っているのに、バックスタンドはガラガラ。まるで天皇杯準々決勝を見ているかのようだ。それ以前に、Jリーグではいつも満員御礼の埼玉スタジアムが、代表戦ではガラガラになっているという現実が、あらためて重くのしかかかる。結局、この日の観客数は主催者発表で2万7998人。スタジアムのキャパシティーが6万3700人だから、半数にも満たなかったことになる。 果たして代表人気は、ここまで凋落したのだろうか――いやいや、3日前に豊田スタジアムで行われたコートジボワール戦では、チケットは完売。スタンドは4万0710人もの観客でぎっしり埋まっている。ただし豊田での試合が、いくつかの好条件に恵まれていたことは見逃せない。試合が土曜日であったこと。愛知県での代表戦が、1994