菊地成孔の『シェイプ・オヴ・ウォーター』評:ヴァリネラビリティを反転し、萌えを普遍的な愛に昇華した、見事なまでの「オタクのレコンキスタ」は、本当にそれでいいのか? オタクに市民権を!(いつの叫びだ) 特に監督と音楽が際立って素晴らしい本作は、ゴールデングローブ(以下GGA)と米国アカデミー(以下AA)の双方に於いて綺麗なまでに監督賞と作曲賞を受賞しているが(両賞が映画における最高権威とは全く思わないが(菊地成孔の『スリー・ビルボード』評:脱ハリウッドとしての劇作。という系譜の最新作 「関係国の人間が描く合衆国」というスタイルは定着するか?)、北米における映画産業内政治、並びに、それでも動かすことができない、政治力を超えた力のあり方を明確に示す、という点に於いて、合衆国観察という点で重要な2トップであることは間違いない)、アレクサンドル・デスプラ(56歳)が、現代の超ミッシェル・ルグラン(8