創業者の眞崎仁六。1925(大正14)年に色鉛筆を製造販売していた「大和鉛筆」と合併し、「眞崎大和鉛筆」を設立。52(昭和27)年、社名を「三菱鉛筆」に改めた。 子供の頃、その鉛筆は憧れの的だった。茶色ともエンジ色ともつかない不思議な塗り色。円錐形の先端と、ゴールドの刻印文字。とにかくカッコよかった。プラスチックのダース箱が筆箱を兼ねており、ちゃんと消しゴムも入っている。 先に手に入れた友だちが羨ましくて仕方なかった。値段が高いのは知っていたが、親にねだって買ってもらった。カバンに入れた時、少しだけ自分が大人になったような気がした。 「三菱鉛筆ユニ」。高度経済成長期に小中学生だった世代にとって、これほど深く少年期の思い出と結びついた鉛筆は、他にない。 ユニが誕生したのは1958(昭和33)年。かれこれ50年近いロングセラー商品になる。ユニが登場する以前、日本の鉛筆事情はどのようなものだった