タグ

ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (81)

  • 日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」

    「よく、これほどの深い森が東京に残っていてくれた」 明治神宮について、しばしばこうした感想を耳にする。 しかし、一つ確認しておこう。実は、明治神宮の森は、天然林ではない。今から90 年ほど前に、当時の日の人々が、明確なデザイン意図と壮大な構想力をもってつくり上げた森なのである。 1912(明治45)年7月30日、明治天皇が崩御なされた。まもなく全国から「御聖徳をしのぶ」声が上がり、当時の帝国議会や経済界を動かして、明治天皇を祀(まつ)る神社創建の機運が生まれる。 そこで政府は翌年、「神社奉祀調査会」を組織し、候補地の選定に取り掛かった。富士山や筑波山、奥多摩なども含め、全国各地で40近くの地名が挙げられたが、明治天皇が東京に縁(ゆかり)が深かったことを念頭に、東京府内の陸軍戸山学校、白金火薬庫跡、青山練兵場跡(神宮外苑)、代々木御料地の4カ所に絞られた。 この代々木御料地こそが、現在の明

    日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」
  • 日本人が作った森 「明治神宮」 後編

    原宿駅付近から渋谷方面を望む。今から90年前は草むらや沼地ばかりの荒れた土地だったが(上)、現在は豊かな森が広がる(下)。 写真:明治神宮(クリックで拡大) 実際の森づくりは、まずこの土地にすでにある木を生かすことから始まった。将来の主木にするためカシやクスノキなどの常緑広葉樹が育つまでには相当な時間がかかる。それまでは、今ある木々を活用しようというわけで ある。 この発想をもとに考え出されたのが、前編で掲載した 「明治神宮御境内林苑計画」に記されている四つの段階の「森づくりの工程表」だ。 「明治神宮御境内林苑計画」は、造園家の郷が著したもので、森林造成計画の記録書であり、森林管理の指南書である。和綴(と)じにされ、歴史を感じさせるその書物をめくっていくと、「林苑の創設より最後の林相に至るまで変移の順序(予想)」とあり、50 年後、百数十年後の森林の変化が、4 段階の林相予想図として描か

    日本人が作った森 「明治神宮」 後編
  • 万年氷が解けて古代の遺物1000点出現、ノルウェー

    2019年に撮影されたノルウェーのレンブレーン氷原。氷が解け、何世紀も前にこの地域を通った旅人たちが残した馬の糞が現れた。(PHOTOGRAPH BY ESPEN FINSTAD, SECRETS OF THE ICE) 始まりは、1800年前の衣服だった。ノルウェー南部の山の、氷が解けた跡から古代のウール製チュニックが発見された。貴重な遺物を同僚が梱包している間、考古学者ラース・ホルガー・ピロ氏は、もう1人の同僚とともに霧に包まれた氷の跡をたどっていった。 薄暗い中に目を凝らしたピロ氏は、気がついた。今、見ているのは、何百年もの間、日の目を見ることのなかった遺物の散らばる原野なのだと。壊れたそりや道具など、2000年近く前の生活の痕跡が、地球温暖化により急速に解けゆくレンブレーン氷原に点々と散らばって埋もれていたのだ。 「当に特別な物を見つけたことに気がつきました。大鉱脈を掘り当てたよ

    万年氷が解けて古代の遺物1000点出現、ノルウェー
  • コンゴのエボラついに終息へ、決め手はワクチン接種

    2019年、コンゴ民主共和国(DRC)北東部の街ベニ。保健スタッフが救急車にカクレ・カベンディブワくん(14)を運ぶ。この前日、姉妹がカクレくんを近くの保健センターに連れて行ったが、治療センターに行くことを勧められると、逃げ出してしまった。保健センターから連絡を受けた世界保健機関(WHO)が家族を発見。家族は地域の啓発担当者と何時間も話し合った末、カクレくんを救急車で搬送することに同意した。(PHOTOGRAPH BY NICHOLE SOBECKI) 世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話題でもちきりだが、史上2番目に大規模なエボラウイルス病(エボラ出血熱)のアウトブレイク(集団感染)がついに終息するかもしれない。 コンゴ民主共和国(DRC)のキブ地域で、大流行へとつながるエボラウイルス病の最初の症例が報告されたのは2018年8月だった。以後、これまでに約3450の症例と

    コンゴのエボラついに終息へ、決め手はワクチン接種
  • ペスト医師、奇妙な「くちばしマスク」の理由

    1656年に描かれたローマの医師。ヨーロッパにおける17世紀のペストの大流行の際、医師は、クチバシ付きマスク、革手袋、長いコートを着用し、感染を防ごうとした。不吉で象徴的なその姿は、今日でもよく知られている。(PHOTOGRAPH BY ARTEFACT, ALAMY) ペストはかつて、世界で最も恐れられていた病気だった。止める術などわかりようもないパンデミック(世界的な大流行)が発生し、何億もの人々が亡くなった。犠牲者は、リンパ節が腫れあがって痛み、皮膚が黒ずむなど、悲惨な症状に苦しめられた。(参考記事:「「黒死病」はネズミのせいではなかった?最新研究」) 17世紀のヨーロッパでは、ペストの治療にあたる医師たちは、独特な防護服を身にまとい、鳥のクチバシのようなものが付いたマスクを着用していた。以来、この格好は不吉なイメージを帯びるようになるが、それにしてもなぜこんな形のマスクを使ったのだ

    ペスト医師、奇妙な「くちばしマスク」の理由
  • 外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明

    ネコがどこに行っているかについて、ほとんどの飼い主の予想は外れていた。2014年のノースカロライナ州での調査の様子を見てみよう。(解説は英語です) 「キャット・トラッカー」という大規模な国際プロジェクトの目的はシンプルだった。ペットのネコが、家の外でどこに行っているのかを調べることだ。 研究者たちは過去にも、自らの足で追跡するか(ご苦労さま!)、ネコの首輪に無線送信機を付けるかして、この難問に挑んできた。しかし、キャット・トラッカーはその規模において際立っていた。6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したのだ。(参考記事:「「キャット・トラッカー」が始動」) 調査開始から6年が経ち、ついに結果が2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表された。そこで明らかになったのは、ほと

    外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明
    azumakuniyuki
    azumakuniyuki 2020/03/18
    ネコは世界中どこにいてもなまけ者なんやて
  • メコン川に大異変、世紀の低水位を記録、深刻な食料危機の恐れも

    ラオスのサヤブリ・ダムから約300キロ下流のメコン川。2019年10月28日に撮影。環境保護活動家や、メコン川の多様な生態系に支えられて暮らす住民たちは、河床が干上がっている現状について、激しい抗議の声を上げている。(PHOTOGRAPH BY SUCHIWA PANYA, AFP/GETTY IMAGES) 東南アジアのメコン川では、何カ月も前から、漁網にからまりながらふらふらと泳ぐ希少種のイルカ(カワゴンドウ)が目撃されている。彼らの来の生息地であるカンボジア北部からは遠く離れた場所だ。現在、保護活動家が手遅れになる前に救出しようと計画を練っているが、時間はあまり残されていない。 カンボジアの民話には、イルカが比喩的な役割で登場することがある。衰弱し、方向を見失ったこのイルカは、まさに進むべき道を見失ったメコン川のようだ。イルカの運命と同様に、メコン川もまた大きな岐路に立たされている

    メコン川に大異変、世紀の低水位を記録、深刻な食料危機の恐れも
  • ネコの自由を重んじる国スイスで見つけた「ネコ専用はしご」 写真12点

    スイスでは、ネコの幸せのためには、外出は不可欠だと考えられており、飼い主が建物の外壁などにネコ用のはしごやスロープを設置している。一方、鳥などの野生生物を守るため、ネコは室内のみで飼うべきだという考え方が広がっている。(PHOTOGRAPH BY BRIGITTE SCHUSTER) ベスパを改造するインドネシアの若者たち 自己表現とスクーター愛と団結と ナショジオ過去10年のベスト写真15 編集部が厳選した

    ネコの自由を重んじる国スイスで見つけた「ネコ専用はしご」 写真12点
  • オリオン座の巨星に異変、超新星爆発が近い?

    地平線の上にかかるオリオン座の横を流れ落ちる流星。オリオン座は最も有名な星座の1つで、画面左端の明るく赤い星がベテルギウスだ。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION) オリオン座は、夜空で最も見つけやすい星座の1つで、世界中で見える。もし最近オリオン座を見て違和感を覚えたとしたら、その感覚は正しい。狩人オリオンの右肩の位置にある赤色巨星ベテルギウスが、約100年ぶりの暗さになっているのだ。(参考記事:「オリオン座のベテルギウス、謎の縮小」) 通常、ベテルギウスの明るさは、夜空の恒星の中で上位10位に入っている。ところが、米ビラノバ大学の天文学教授のエドワード・ガイナン氏がオンライン学術誌「アストロノマーズ・テレグラム」で先月報告したところによると、ベテルギウスは2019年10月から暗くなってきて、12月中旬には上位20

    オリオン座の巨星に異変、超新星爆発が近い?
  • ハエを10億匹放してハエを根絶、すごい害虫駆除法

    2016年、米国のフロリダキーズ諸島でラセンウジバエが大発生し、絶滅危惧種のキージカが被害を受けた。寄生されたシカは痛みに苦しみ、死に至ることもある。シカたちを救ったのは、米国とパナマ政府による不妊虫放飼プログラムだった。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 中米、パナマ運河のすぐ東に、緑の屋根の建物がある。一見、どこにでもある工場のようだが、ここはパナマ政府と米国政府が共同で運営するハエ養殖施設だ。 この施設では、1週間に数百万匹、1年間に10億匹以上のハエを育て、放している。施設内はほのかに腐肉のにおいがする。ハエの幼虫(ウジ)には、牛乳と卵と物繊維とウシの血液を配合した餌が与えられている。 ここで育てられているのはおなじみのイエバエではなく、生きたウシの体に穴を開けて組織をい荒らすラセンウジバエである。ラセン

    ハエを10億匹放してハエを根絶、すごい害虫駆除法
  • 衛星タイタンに存在?まったく新しい「有機鉱物」

    NASAの土星探査機カッシーニから送られてきた近赤外波長のカラーモザイク写真。土星の衛星タイタンの北極海に太陽光が反射する。(IMAGE BY NASA/JPL-CALTECH/UNIVERSITY OF ARIZONA/UNIVERSITY OF IDAHO) モーガン・ケーブル氏は、実験室にミニチュアサイズの地球外の環境を作っている。そのなかで、ショットグラス大の湖をかき混ぜたり、穏やかな雨を降らせたりして、土星の衛星タイタンの地表を再現するためだ。はるか遠いタイタンの気温はおよそマイナス180℃。水の氷でできた地表には液体のメタンやエタンの川が流れ、谷を作りだしている。(参考記事:「タイタンの赤道付近にメタンの湖」) 「ある意味、私たちはこの実験室でタイタンに触れることができます。たとえ何億キロと離れていてもね」とNASAジェット推進研究所(JPL)宇宙生物学・地球外海洋グループの科

    衛星タイタンに存在?まったく新しい「有機鉱物」
  • 若者や女性に多い 顔の表情でネコの気持ちわかる人

    ネコは、顔の表情で感情を伝える。人と同じだ。(PHOTOGRAPH BY MELFORD TAYLOR, NAT GEO IMAGE COLLECTION) カナダ、グエルフ大学の行動生物学者ジョージア・メイソン氏は、シルビーとルークという名の2匹の茶トラネコを飼っている。彼女はネコシッターが送ってくる2匹の写真を見て、「機嫌がいいか、不安を感じていて機嫌が悪いかがわかります。夫の意見ともだいたい一致しますよ」と話す。 そのメイソン氏が主導した最新研究で、ネコの顔の表情から気持ちを読み取れる能力をもつ人――巷間で「キャットウィスパラー」と呼ばれる人々が、確かにいることがわかった。 (参考記事:「岩合光昭 ネコが幸せになれば人も幸せになれる」) 同氏の研究チームは、ネット利用者(彼らは最大のネコファンクラブとも言える)をランダムに選び、85カ国から6329人を被験者にオンライン調査をおこなっ

    若者や女性に多い 顔の表情でネコの気持ちわかる人
  • 200年前の歴史的人物をDNAで診断、初の試み

    フランス革命期の革命家ジャン=ポール・マラーが入浴中にシャルロット・コルデーに暗殺される場面を描いた19世紀の版画。(PHOTOGRAPH BY ULLSTEIN PICTURE, GETTY) ユリウス・カエサルはてんかんだった! いやいや、軽い脳梗塞だ! 歴史上の人物の病名や死因が、現代の枠組みを用いて診断されることがある。「遡及的診断」と呼ばれ、医学会でも定番の推理ゲームのようなものだ。その内容は、もっともらしいものから、ばかげたものまでさまざま。だがこれまで、歴史上の人物人のDNAを使って、こうした診断が試みられたことはなかった。 このほど、200年前の殺害現場に残されたDNAを分析し、ある歴史上の人物を苦しめていた病気の正体が判明したという研究結果が発表された。その人物とは、フランス革命期の最重要人物の一人、ジャン=ポール・マラー(1743〜1793)だ。「暗殺の天使」と呼ばれ

    200年前の歴史的人物をDNAで診断、初の試み
  • 史上最強の企業、英国東インド会社の恐るべき歴史

    スペイン無敵艦隊を打ち破ったことを見届けたエリザベス1世は、英国商人らに国王の代理として東インドで交易を行うことを許可する勅許を与えた。(Photograph by Leemage, Corbis/Getty) いま「巨大企業」と聞いて思い浮かべるのはグーグルやアップルだろうか。だが、過去も含めれば、いずれも英国東インド会社の足元にも及ばない。かつてインド亜大陸のほぼ全域を支配した、強大な営利企業だ。1600年から1874年の間に、自らの軍隊や領土をも有する史上最強の企業を作り上げ、今日では極めて英国的とされる商品である紅茶の取引をほぼ独占していた。 17世紀初頭、インド亜大陸は「東インド」と呼ばれ、裕福なヨーロッパ人が珍重する香辛料、織物、贅沢品などの産地として知られており、無限の可能性を秘めた地であるかのように考えられていた。 大航海時代が幕を開けてしばらくは、航海術にすぐれたスペイン

    史上最強の企業、英国東インド会社の恐るべき歴史
  • 欧州の謎の変形頭蓋骨、「民族の目印」だった?

    この異様に長い頭骨は、現在のクロアチアにあたる地域で1500年前に死亡した、東アジア系の祖先をもつ10代の少年のもの。当時は乳幼児の頭を締め付けて変形させる風習があり、頭の形で民族や階級を示していたのではないかと考えられている。(PHOTOGRAPH BY M. CAVKA, UNIVERSITY HOSPITAL DUBRAVA, ZAGREB) ローマ帝国崩壊後の欧州には、ゴート族やフン族などの異民族が進出してきた。いわゆる「民族移動時代」(西暦300~700年頃)である。この時代の遺跡からは、人為的に変形させた跡がある頭骨が見つかっているが、この風習は、自らのアイデンティティを表明する極端な方法の1つであった可能性がある。考古学者は今、DNA分析によってこの謎を解明しようとしている。 考古学者たちは最近、クロアチア東部のヘルマノブ・ビノグラード遺跡で、10代の少年の遺体が3体埋められ

    欧州の謎の変形頭蓋骨、「民族の目印」だった?
  • 砂漠から丸ごと姿を現したローマ帝国の古代都市

    現在のアルジェリアにあるティムガッドの遺跡。タムガディやタムガスとも呼ばれる。一際目を引くのはローマ皇帝トラヤヌスに敬意を表して作られた「トラヤヌス帝の凱旋門」。(PHOTOGRAPH BY IVAN VDOVIN/AGE FOTOSTOCK) 都市全体が消えることなど滅多にない。だが、北アフリカのヌミディア地方に丸ごと姿を消した都市があった。西暦100年頃、古代ローマ皇帝トラヤヌス帝によって建設されたティムガッドだ。 ティムガッドは当初、ローマ帝国の第3軍団アウグスタの駐屯地として建設され、のちに退役軍人の植民都市として繁栄し、数百年にわたり栄華を極めた。おかげで、侵略者にとっては魅力的な標的だった。430年のバンダル人による侵攻の後、何度も攻撃が繰り返されて弱体化し、完全な復興を果たせないまま、700年代に打ち捨てられてしまう。(参考記事:「ローマ帝国 栄華と国境」) 砂漠が街をのみ込

    砂漠から丸ごと姿を現したローマ帝国の古代都市
  • 大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?

    海洋プレートが別のプレートの下に沈み込む「沈み込み帯」を描いたイラスト。ポルトガル沖の地質活動の研究で、沈み込み帯誕生の過程が明らかになるかもしれない。(ILLUSTRATION BY NATIONAL GEOGRAPHIC, ART: TOMÁŠ MÜLLER, GRAPHIC EDITORS: MANUEL CANALES, MATTHEW CHWASTYK, RESEARCH: RYAN WILLIAMS) 大西洋のポルトガル沖で1969年、大きな地震が起こり、津波が発生した。この謎の現象は、ジョアン・ドゥアルテ氏を長年にわたり悩ませてきた。震源地の周辺には、何の変哲もない平らな海底が続いているだけなのだ。こんなところでなぜ地震が起こったのか。ポルトガル、リスボン大学ドン・ルイス研究所の海洋地質学者として、ドゥアルテ氏はこの海底で何が起こっているのかを突き止めようとした。 そして地震

    大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?
  • カッパドキアに新たな地下都市、過去最大と推定

    発見のきっかけは、市の住宅建設プロジェクトだった。2013年、ネブシェヒルの城を取り囲むように建っていた低所得者向け住宅を解体していた作業員たちが、地下への入り口を発見。その先にはトンネルと部屋が網の目のようにつながっていた。 市は建設プロジェクトを中止すると、考古学者や地球物理学者による調査を開始。2014年に居住空間や調理場、ワイン醸造所、礼拝堂、階段などから成る多層構造の地下都市を発見した。石臼や石の十字架、陶磁器といった遺物からは、ビザンチン期からオスマン帝国の支配下に置かれるまで、ここが実際に使用されていたことがうかがえる。 この地下都市は、デリンクユと同様に通気口や水路といったインフラを備えた巨大居住空間だった。カッパドキアの人々は危険が迫ると家畜を連れ、生活必需品を持ってこの地下都市に逃げ込み、丸い石の扉で入り口をふさぐと、脅威が去るまで籠城したようだ。 ネブシェヒル大学の地

    カッパドキアに新たな地下都市、過去最大と推定
  • サマータイムにうんざり、米国で廃止の動き

    サマータイム制度は大きな変化の時を迎えているようだ。米国では今、かつてないほど多くの州が時刻の修正をやめる方法を探っている。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC) 春が近づくたび、スコット・イェイツ氏は憂になる。日が長くなり、気候が暖かくなるのは、イェイツ氏を含む多数の米国民にとって、毎年恒例の難関を乗り越えるべき日が近づいているしるしだからだ。そう、サマータイムの始まりの日に、時計の針を1時間進めなければならないのである。(参考記事:「米、夏時間スタート:その起源と効果」) 時刻を春には進め秋には戻すのは、少々面倒というのみならず、深刻な悪影響をもたらす可能性がある。というのも切り替えの時期は、心臓発作のリスク増大、交通死亡事故の増加、裁判で普段より厳しい刑が言い渡される傾向などが見られるからだ。しかし、多くの企業が利益の観点

    サマータイムにうんざり、米国で廃止の動き
  • 北磁極の動きが加速、原因不明、あまりに急激

    北磁極はこれまでも移動してきたが、最近そのスピードが急に上がってきている。原因は不明だ。(PHOTOGRAPH BY NASA/JSC) 北の磁極はじっとしていたためしがない。地球内部の「外核」を流れる液体の鉄に影響されて、過去100年ほど、北磁極は真北に向けてじりじりと移動してきた。ところが最近になって、専門家は異変が起こっていることに気が付いた。北磁極が急にスピードを上げて移動し始めたのだ。なぜなのかは誰にもわからない。 その動きがあまりに急激なので、慣例の5年ごとという予定を繰り上げて、米国は世界磁気モデル(WMM)を今年初めに更新する予定にしていた。世界磁気モデルは、携帯電話をはじめ、船舶、航空機などのナビゲーションに利用されている。ところが、米連邦議会の予算案交渉が難航し、予算が切れた連邦政府が一部閉鎖されたため、更新が延期されていた。 政府が再開し、新しい北磁極を示した最新モデ

    北磁極の動きが加速、原因不明、あまりに急激